カテゴリー: FOOD

Happy Gardening

今年のバンクーバーの夏は例年より涼しいスタートでしたが、ガーデニングは日々熱く盛り上がっています。夏になると自ら野菜や草花を育てるカナダ人は沢山います。そして私も、今年の春、ようやく空きを待っていたコミュニティーガーデンの一画が与えられたのです。

コミュニティーガーデンとは地域の未利用地を使って、その地域の人たちが共同で花や野菜、ハーブなどの植物を育てるオープンスペースのことです。それぞれスペースを与えられ、各自、自由に愛着を持って、いろいろな植物を育てています。とにかく人気があり、私のコミュニティーでは現在も100人ほどの人がウェイトリストに登録しているそうです。

コミュニティーガーデンのメンバーは定期的に勢揃いして顔合わせすると同時に、皆で草むしりや道具のメインテナンスをする集まりがあります。私の所属するコミュニティーガーデンは全部で50区画ほどあり、新入りもいれば、もう10年以上コミュニティーガーデンで栽培しているベテランもいます。コミュニティーガーデンの良い点は、それぞれのガーデニングスキルを共有できる事。そして、「Shack」と呼ばれる共同納屋にガーデニングに必要な全ての道具が揃っているのです。なので、ガーデンに行く際は、気軽に手ぶらで行くことが出来ます。バケーションなどで長期間不在になる時は、「WATER ME PLEASE」(お水を与えてください)という看板を立てておけば、他のメンバーが代わりに水やりをしてくれます。自分が持っている植物を分けたり貰ったり、エクスチェンジもあります。コミュニティーガーデンでは、それぞれのスペースを楽しみつつ、皆で集合体の「庭」を作っている、そんな印象です。

自分の区画で土作りをしていると、早速メンバーの1人がやってきて、「これを植えておくと蜂が寄ってくるよ」とお花の苗を譲ってくれました。害虫を食べてくれる鳥を誘う水飲み台を設置している人もいます。私は全て種から育てる派で、種まきの時期は何を撒こうか随分悩んでしまいました。結果、水菜、小松菜、きゅうり、枝豆など日本のお野菜を中心に、ケール、ラディッシュ、パセリ、ネギ、トマト、と花の種を数種類。畳2畳分くらいのスペースを最大限に活用しました。お陰で芽が出てきた時に、「何の芽だっけ?」と分からなくなることも…。「ちょっと多く蒔き過ぎたかしら?」と話していると、「何が生えてくるか分からないのもミステリーで楽しいじゃない!」とカナダ人らしい前向きなアドバイスをもらったり。

ちなみに植物の種は、「Seed Pod」と呼ばれる種を自主的に無料で配布している場所があって、そこにもらいに行きます。ほとんどのものがオーガニック、もしく近所の人達の庭で採取した種を集めたもので、安心安全です。

種だけでなく、苗も自由にもらえる機会も沢山あります。近所を散歩をしているとよく「トマトの苗お好きにどうぞ」と、庭の前に置いてある家があったりします。余分に育ってしまった苗を譲るこのような行為は、バンクーバーではよく見かける風景です。地域のオンラインガーデンコミュニティーに参加すると、何か困った時は、そこに質問を投げかることもできます。私がアブラムシ対策の質問をしたら、数時間で20件以上のフィードバックを貰い、皆熱心に問題解決のアドバイスをくれたのには驚きました。

ガーデニングコミュニティーでは土作り、肥料作り、種や苗の交換、知識の交換…、全て何の代償を払うことなく、植物を育てるという共通の目的に基づき、互いに助け合っています。「食」を作ると言うのは本来、共同で働き分け与える、とても当たり前で自由なものなのかも知れません。

コミュニティーガーデンで畑仕事をしていると、通り過ぎの人やメンバーの人から挨拶がてら「Happy Gardening!」とよく声をかけられます。共同の「庭」から、私は想像以上のハピネスを受け取っている気がします。

Growing Season

今年のカナダの秋は、晴天続きで気温も高く、10月も半ばになってから我が家の家庭菜園のGrowing Season(成長期)もようやく落ち着きました。

この春は、ケール、ビーツ、水菜、かぶ、絹さや、ラディッシュ、レインボーキャロットの種蒔きから始まり、ハーブはイタリアンパセリ、バジル、紫蘇、パクチー、ミツバ、なども全て種から育てました。

夏のスタートが遅かったのと、7月まで冷夏だった為、ジャガイモの種芋がどこまで育つかヒヤヒヤしながら観察していましたが、可愛らしい芽が伸びはじめた時は一安心しました。

野菜は苗から育てるよりも、種から育てる方が何となく強い気がするのと同時に、愛着も倍に湧きます。ミリ単位の種から発芽し、土の表面にニョッキリと姿を表すたくましい生命力。

毎日優しく水をあげながら、その成長を見るのが私の夏の日課でした。特にツル科の絹さやは、芽が出たと思ったら、あっという間に長い支柱を駆けのぼり花を咲かせてくれました。

 

ビーツやカブの収穫時には、まん丸に太った実が「早く採ってください!」と言わんばかりに土の表面から盛り上がり、ほんの少し引っ張るだけで簡単に収穫できました。野菜は自分の食べごろを色々な形で教えてくれます。

ジャガイモは冷夏の時期が長かったか、前年に比べて数はあまり採れませんでしたが、掘りたてのジャガイモを蒸してガーリックとディルで炒めたお味は最高でした!

家庭菜園の魅力はなんと言っても、もぎたての野菜を味わえることではないでしょうか。お陰で夏場は、ハーブ類と自分で育てた野菜の一部は市販のものを買わずに済ませることが出来ました。

農薬も肥料も与えず、米の研ぎ汁を定期的に与えただけで、害虫被害もなく立派に育ってくれた野菜達!特にレインボーキャロットは、10月末になってもまだまだ収穫出来るほど元気一杯でした。ケールだけ虫にやられてしまい、食する部分がほとんどなくなってしまったのが残念。ケールが大好きなだけに、これは来年の課題です。

今年は実だけでなく、花も沢山咲いてくれて、また来年用の種も収穫する事ができました。

野菜の種と同時に蒔いたカレンデュラの種は、ようやく夏の終盤に次から次へと咲き誇り、食べる植物だけでなく鑑賞用の花を植える楽しみも再発見。

そして春先から作り始めたコンポスト。

家庭で出たクズ野菜やお茶の出涸らしを土や米糠と混ぜてせっせと作っていたのですが、今年は堆肥化には間に合いませんでした。自分が排出しているオーガニックのゴミさえも、土に還るのにどれほどの時間を要すのか、改めて勉強になりました。ゴミはやはりゴミ。簡単に分解し、土に戻るものなどそうないのではないでしょうか。

以前、VOICEプロジェクトで農家の方を取材した時に、とても印象深い言葉をいただいたのを覚えています。「農業を始めた若い頃は、1年は4シーズンしかないと思っていました。でも、日々自然と向き合い、食物を育てることに携わっていると、1年は52シーズン以上からなっているのだと気づいたんです。食物を育てるには長い時間を要します。雪がなくなり、畑の土が見え始め、土の中の無数の微生物の匂いを嗅いだ瞬間から、秋の収穫に至るまで実に小さな変化を繰り返しながら、様々なシーズンが繰り広げられているんです。」

私もいつか52シーズンを感じてみたいと思いを馳せながら、今年のGrowing Seasonの幕が閉じました。

Spring Foraging

バンクーバーの春は、Foraging(フォレジング=自然採集)にとても忙しい時期です。気がつけば、日々どこかで新しい命が芽吹き、私もあちらこちらへと大忙しに繰り出して行きます。とにかく自然の営みを目で見て、肌で感じることが大好きで、フォレジングを通して普段何となく知っている植物からも毎回学びが沢山あります。

ラズベリーリーフとブラックベリーの新芽から始まり、こごみ等の山菜採り。遠方の北まで足を伸ばし、人生初の白樺樹液の採集も体験しました。5月になるともう追いつかない程、花と新緑の祭りが始まります。つくしが顔を出したかと思ったら、あっと言う間にスギナが伸びます。繁殖力の強いスギナは駆除が困難な雑草として見られがちですが、カリウムが豊富でむくみを解消し、血液をきれいにしてくれます。スギナのケイ素は、歯・髪・爪の健康維持に欠かせない成分でもあります。

新緑だけでなく花の森かと思うほど、山にも美しい野生の花が咲き乱れます。ライラックの香りは大好きな花の香りのひとつで、雨が上がった早朝のライラックの香りは特に濃厚です。華やかな香りのリラックス効果と共に、沢山の抗菌・解熱・新陳代謝改善などの健康効果、そして美肌効果があります。

エルダーフラワーは咲く期間も短く、フレッシュなタイミングで摘む時期を見計らうのは至難の技です。エルダーフラワーは特に、副鼻炎やインフルエンザの特効薬として知られます。優れた抗酸化作用で、肌のキメを整え、シワや紫外線のダメージを改善する効果も。

そして、エルダーフラワーはとにかく美味しい!ぬるめのお茶にしてたっぷりとビタミンCを摂取するのも良し。砂糖とレモンで煮込んで作るエルダーフラワーコーディアルは格別です。冬の風邪薬にと2瓶作りましたが、あまりの美味しさに夏までに無くなってしまいそうです。

今年の春は色々な形で自然の恵みを楽しんでいますが、ハイライトは何といってもモレルマッシュルーム(アミガサタケ)。モレルは、カナダはもちろんヨーロッパでも春の珍味として食用に幅広く活用されますが、今回モレルのストーリーに心打たれました。モレルは、山火事で荒れ果てた山の斜面や、森林伐採された荒野に新しい命を吹き込むキノコです。凸凹した網状のカサに、植物の胞子を引っ掛け育み、枯れた大地に新しい息吹をもたらします。正直、今までモレルはそこまで関心がなかったキノコでしたが、その話を聞いてとても愛着が湧きました。

ご縁があり、モレルマッシュルームを毎年採取しているカナダ人に同行したある週末。私達が向かった先は、昨年の山火事で焼け焦げた木々が無惨に散乱している場所でした。まだ焦げ臭く辺り一面真っ黒な死の世界の様なその場所で、かろうじて直立している木々。その外皮に触れてみると、想像以上にふわっと柔らかく軽い炭のような感触でした。真っ黒に燃えても、内側はまだ生きているので材木としてそのまま切り倒され使用されることが多いそうです。木がなくなり、スカスカになってしまった山の斜面は、砂のようにとても乾燥していて斜面を登るたびに足が滑ります。

そんな場所に、モレルがニョッキリと顔を出しているのです。何とも可愛らしい、森の守護霊のようなモレル。「ありがとう。君達すごいね。」と感謝の気持ちを抱きながら、小さいサイズは避けて採りすぎに注意しながら採取しました。1日の終わりにはもう手は真っ黒、炭だらけ!

この日帰宅して料理したモレルの味は身に沁みる美味しさでした。

モレル採取中に、新しい野草にも出会いました。マイナーズレタスと呼ばれる、野生のレタス!100gのマイナーズレタスには、1日のビタミンC摂取量の1/3も含まれているそうで、そのままサラダとして美味しく頂きます。ワイルドストロベリーも可愛らしい花を咲かせていました。きっと美味しい実が成るだろうと想像しながら、山火事の荒野に存在するたくましい生命の循環を垣間見ることが出来ました。

野生の植物や花は、人間の頭では計り知れない大地の時間の流れとともに、正確に命の時を刻み、着実に彼らの使命を果たしています。山を生き返らせ、そこに生息する動物達の貴重な食糧ともなります。生命がきちんと循環するように、人間もまた来年同じ時期に自然の恵みを分けて貰えるように、サステイナブルを意識しながら採取する大切さを身をもって感じます。インターネットで表面的に何もかも知った気になってしまう危うい時代だからこそ、土臭い場所で五感で感じる行為をより大切にしたいと思うのです。

Mindful Face 10 – Dr.Ginger

2月も末ですが、カナダではまだチラチラと雪が降る日がありました。翌朝は澄み切った冬晴れの空の下、うっすらと雪化粧をした街が眩しかったです。

冬は浄化されるような雪景色と、澄んだ空気が気持ち良い季節ですが、顔面神経麻痺を患っている方にとってはなかなか手強い季節でもあります。なぜなら、冷たい空気に患部がさらされたり身体が冷えることで、血の巡りが悪くなり、筋肉を強張らせ、症状が悪化することもあるからです。

特に冬場は内側から徹底的に温め、巡りをよくしてあげることを心がけましょう。体の内側と外側は面白いほど繊細に、密接に繋がっています。冬だけでなく、年間を通して温活療法を施してくれるお医者様的存在…。それは何と言っても生姜ではないでしょうか。

生姜は食べ物を陰陽で分けると、「陽の食材」。栄養素の宝庫でもあり、主な成分にカリウム、カルシウム、マグネシウム、ジンゲロン、とショウガオールなどがあります。特に、生姜の辛味成分であるジンゲロール・ショウガオール・ジンゲロンは体の内からも外からもポカポカ温活パワーを与えてくれます。

ジンゲロールは「生」の生姜に多く含まれていて、鎮痛・解熱・消炎・発汗作用があり、胃腸の調子を整え、風邪の予防にもなります。強い抗菌効果で体内の熱を取り除き、体の表面を温めてくれる効果も。肩こりや頭痛などの改善はもちろん、生の生姜をすり下ろして作る「生姜湿布」などは皮膚からジンゲロールを吸収させて、血行促進させます。基本的に生姜は体を温める「陽の食材」ですが、ジンゲロールに限っては、体温を下げようとする効果があるので、体調によって「生」か「乾燥」の生姜を使い分けると良いです。

ショウガオールは「乾燥」された生姜に多く含まれていて、ジンゲロールを加熱・乾燥させると一部がショウガオールに化学変化します。ショウガオールは深部から熱を作り出し、血を巡らせ身体を芯から温めて持続させる効果があるのが特徴です。加熱した生姜の温活パワーは、生の生姜よりも強力と言われているので、特に冬場や冷え性の人は積極的に熱を通しましょう!新陳代謝も促進され、血行の改善から美肌効果も期待出来ます。そして更に、抗酸化作用もパワーアップし、ショウガオールには抗ガン作用もあると言われてるので、毎日でも食べたい!

ジンゲロンも加熱によりジンゲロールが変化したものです。新陳代謝の促進・血行の促進で、体を温め冷えを改善してくれると同時に、脂肪燃焼にも役立ってくれます。

となると、生姜は加熱して摂取した方が圧倒的に良いのでは?!と、私は普段から生姜を加熱して食すことがほとんどです。特に、20代の頃から愛読している医学博士の石原結實先生の「体を温めると病気は必ず治る」と言う本の中で紹介されている「生姜紅茶」は、今でも冷えを感じた時や、体を活性化したい時に必ず飲むお茶です。

レシピと言うまでもないくらい簡単で、熱い紅茶にすり下ろした生姜をたっぷり入れて、お好みで蜂蜜やプルーンを入れて熱いうちに飲みます。個人的には甘味はスキップしますが、甘味を加えることで滋養強壮作用があるそうです。これを飲むだけで、体がすぐにポカポカ、ちょっとした不調は吹き飛んでしまいます!

唯一のポイントは、オーガニックの生姜を皮ごと使うこと。生姜の皮にはポリフェノールやジンゲオールが豊富に含まれているので、切り捨てないで全て使ってください。カナダでは比較的オーガニック生姜は安価でどこのスーパーでも取り扱ってますが、購入が難しい場合は、重曹でよく洗って残留農薬を除去してから食してください。

どうせ飲むなら、紅茶にもこだわりたいもの!こちらも出来ればオーガニックのものを!そして、 ティーバックではなくホールリーフ(茶葉をカットしていないもの)を選びましょう。私は、エシカル・サステイナブル・フェアトレード認証されていて、ケニア自社農園直送ホールリーフ茶葉を扱っているJusteaKenyan Black Teaがお気に入り。地元バンクーバーのブランドで、「顔の見える」メーカーを選ぶのも安心安全の基準です。この紅茶を来客に出すと、いつも「美味しい!」と褒められます。

生姜を毎回すったり、切ったり、めんどくさい!手軽に温活パワーを吸収したい!と言う人は、乾燥した生姜パウダーもオススメです。最初からショウガオールの成分が豊富なので、飲み物や料理にパパッと加えられます。

もう一つのオススメは、「生姜ビネガー」。細かく刻んだ生姜を瓶に入れて、ひたひたにビネガーを注ぎ、冷蔵庫へ。長期保存可能なだけでなく、ドレッシングやヨーグルトのトッピングなど様々な料理の万能調味料として使えます。多少なり乳酸発酵する気がして、お酢の味が少しまろやかになります。私はこれを冷蔵庫に必ず常備!お酢と生姜のW血行促進パワーで、冷えを撃退しましょう。

たった一つの食材で、こんな恩恵が得られる生姜は真の温活ドクター!もう直ぐそこまで来ている春に向かって、体内の巡りと体温をしっかり整え麻痺部の硬直や不調を少しでも和らげておくと、春夏の回復力が変わってくる気がします。

体を温めると自然と心も緩みます。リラックスしながら寒さを乗り越え、温かい春を待ってみてはいかがでしょうか。

Taste of Autumn

本日カナダはハロウィーンのお祭りです。町中にゾンビ、ガイコツ、クモの巣、怪物やらお化けが賑やかに飾られています。そして、住宅地の玄関にはパンプキンをくり抜いて作られた提灯のジャック・オー・ランタンが、子供達を誘い入れる様に置かれています。

ハロウィーンの影響もあって、10月に入ると実に沢山の種類のカボチャ達が店頭に並び始めます。中にはとてつもなく巨大なお化けカボチャまで。これらの顔ぶれが揃いだすと、カナダも秋本番だなぁという気持ちになります。日本では濃い緑色のゴツゴツした皮に、鮮やかな黄色のかぼちゃが一般的ですが、カナダでは本当に沢山の形&味のカボチャ属が存在します。

そもそも西洋で知られるKabocha(カボチャ) はこの一派的な日本カボチャを指し、その他はPumpkin(パンプキン)とSquash(スクワッシュ)の2つに大きく分けられます。何が違うのか?それは簡単で、皮がオレンジ色でツルツルしているのがパンプキン。皮が緑色のものはスクワッシュと分類されています。

とにかく種類が多すぎるので、とりあえず一通り食べてみる!と言うのが私流。

Sugar Pumpkin (左:シュガーパンプキン)は主にパイやスイーツに使用するお菓子用パンプキン。Red Kuri(右:レッドクリ)で、外側も内側も鮮やかなオレンジ色。

 

Kuri=栗?と期待しましたが、栗の味はしません。煮物にも適していますが、スープにすると皮もオレンジ色なので色が濁らず華やかな仕上がりになるそうです。「来客用のスープとして失敗知らずで便利だよ」、とファーマーズマーケットですっかり親しくなり、我が家の5月〜10月のお野菜のほとんどを提供してくれているクリスくんが教えてくれました。

白と緑のストライプ柄は、Sweet Dumpling(左:スイートダンプリング)と呼ばれるもの。マイルドな甘さで、焼いたり、ローストしたり、マッシュしたり、スープに加えたりと色々活用できます。見た目がころんと可愛らしいのは、Acorn Squash(右:エイコーンスクワッシュ)。サイズが小さいものが多いので、種を取り除いた空洞の中にスタッフィングを入れて、チーズを振りかけてオーブンで焼くと食べ応えもあり美味しいです。マクロビ流あずきカボチャなどにも良さそうだなと、次回試してみたいと思います。

他にも、これカボチャですか?と疑ってしまう変わった色・形のDelicata(左:デリカッタ)。味はちょっとポテトっぽくホクホクしてるので、半分縦割りにして種を抜き、そのまま豪快にローストするのがお好みです。Butternut Squash (バターナットスクワッシュ)もユニークなひょうたん型。種もあまり無いので下処理が楽です。実は少し水っぽくねっとりしてるのでスープにするのが最適だそう。

色々ある中で、私のお気に入りはBlack Futsu(ブッラクフツ) と呼ばれるスクワッシュ。皮が部分的にカビぽっく白く濁り、表面もゴツゴツ岩の様にイカツイ様相。最初購入する時はちょっと勇気がいりましたが、お味はグッド!外皮も見た目とは逆に柔らかく調理しやすいです。

そこまで甘みはないので、ローストしてチップスの様に副菜として食べるのがお気に入り。熟してくると外皮がオレンジ色になって来ます。それまで、オーナメントとしてダイニングテーブルに飾って、秋の色を目で楽しんでみたり。

ちなみに、カボチャ属の栄養価は野菜の中でもピカイチ!βカロテン、カリウム、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、鉄など沢山含まれています。陽性のお野菜なので免疫力を高め、抗酸化作用も期待でき、お肌を丈夫にして、血行を良くし体を温めてくれます。冷え症の人は特に冬場、積極的に取り入れるのがおすすめです。

私は毎回オーガニックのものを購入して、皮ごと全て頂きます。種はパンプキンスパイスと海塩ひとつまみ振りかけて、ローストすると美味しい健康的なスナックに大変身!余すところがないサステイナブルなお野菜なのです。種が少ない時は、実をローストする際に脇で一緒に焼いてしまうと時短で簡単です。

沢山のカボチャの食し方を楽んで、私の秋はすっかりカボチャ色です。今年も沢山の種類のカボチャを食して、冬を乗り越えていこうと思います。

 

Local Feast!

買い物をする度、BC州内で生産・製造されたローカル商品を意識的に購入する事で、個人が担うフットプリント(環境負担)の軽減に繋がるそうです。あるBC州のリサーチでは、個人消費のわずか10%がローカルビジネスに傾くだけで、雇用や利益の循環が生まれ、多国籍企業に比べ何倍もの経済効果が期待出来ると言われています。

私も日々、個人消費がローカルに向くよう心がけています。今年のクリスマスは80%ローカルを目指してお祝いしようと、様々なローカルビジネスからの食の恵みと面識ある彼らのストーリーを思い返しながら楽しみました。

初トライしたお手製パンプキンパイ。主役のパンプキンは、バンクーバーから車で約1時間の農業都市、Abbotsford(アボッツフォード)のオーガニックファームClose to Home Organics(クローズ・トゥ・ ホーム・ オーガニックス)より。オーブンが強かったか、ちょっとひび割れましたが優しい甘さのパンプキンパイが出来ました。

テーブルセッティングには、100%オーガニックリネンを扱うCloth Studio (クロス・スタジオ)のテーブルナプキンと、Reclaimed Print Co (リクレイムド・プリント社)の廃材を再利用したコースターをワイングラス用に添えてみました。どちらとも素朴だけど温かみある素材が大好きです。

アパレティフはオカナガンにあるワイナリー、8th Generation (エイスジェネレーション)から発泡酒、Integrityをチョイス。オカナガンの「プロセッコ」と親しまれ、ワインを仕込む過程で発生した炭酸をそのまま瓶詰めしているので、頭痛や嫌な膨満感が出ません。

アパレティフのお供は、Golden Ears Cheese Crafters (ゴールデンイアーズ・チーズクラフターズ)の牧草牛のチーズと、最近ハマっているオーガニックビーガンクラッカーのHippie Snacks(ヒッピー・スナックス)。チーズは普段あまり口にしませんが、このコンビが堪らなく美味しい!幾つでもいけちゃいます。

メインはもちろんチキンロースト。今年はノースバンクーバーにお店を構えるホルモンフリーでサステイナブルな食肉を扱うTwo Rivers Meats(ツー・リバーズ・ミーツ)のオーガニックチキンを丸ごと一匹焼き込みました。昔友人に教えて貰った秘伝のタレで漬け込む事3日間。失敗知らずのレシピとローカルスイートポテト&自家製ギーのマッシュ添え。

お野菜は大好物のローカル芽キャベツを2種類。カナダ先住民でLGBTQ経営者のOne Arrow Meat (ワン・アロー・ミート)のスモークベーコンと一緒にメープルローストした1皿と生サラダ仕立てにしたものを作ってみました。

チキンのお供にはオカナガンはMoon Curser(ムーン・カーサー)2018年シラーを。シラーだけどチキンに合うと言うレビューを信じちょっと冒険してみたけど、やっぱり重め。ワインのペアリングはやはり大事です。気を取り直して、8th Generation2017年メルローxカベルネソーヴィニヨンを開けました!シラーはシラーでとっても美味しいけれど、チキンにはこちらで正解!

そして、ディナータイムは終始、Hives 4 Humanity (ハイブス・フォー・ヒュマニティー)の手作りミツロウキャンドルの柔らかい光が、美味しい時間を美しく演出してくれました。

と、100%とは行かずとも大半ローカルで挑んだ今年の我が家のクリスマス。食事から装飾品まで自分が住む州内のものでほぼ完結出来るって、とても貴重で贅沢な事だと常々思います。「今日は何%ローカル達成~!」と毎日の消費行動に取り入れてみたら、知らずと楽しくローカルビジネスに貢献しながら自分のフットプリントも削減出来るのかも知れません。

注)食事を楽しむのに夢中で、写真がお粗末なのをご了承ください…(。-_-。)

Sprout Power!

最近、スプラウティング(発芽)にハマっています。

きっかけはオーガニック+ビーガン+ローフードのシェフであるAgathe(アガト)さんと知り合ってから。彼女はバンクーバーでSprightly Plant Power(スプライトリー プラントパワー)と言うブランドを持ち、オンラインでも購入できる健康で美味しいクリエイティブな食を作っています。

全ての種子や穀物類はスプラウティングさせてから、生地にしたりミルクにしたりクッキーにしたりと、調理します。アーモンド、カシューナッツ、ウォルナッツ、ひよこ豆、レンズ豆、黒豆、蕎麦の実、キヌア、玄米…と、とにかくスプラウティングの達人。エイジレスでチャーミングで、食は人を造るのだと自ら体現してくれている女性です。

私もナッツや豆類を多く食べるけど、沢山摂取すると逆にお腹を壊したり、膨満感が出たり。そんな悩みをアガトさんに言ってみると意外な答えが返ってきました。

「人間の体は硬い種子を食べ慣れていないの。だからそのまま食べると体や消化に負担がかかる。種子や穀物類をスプラウティングすると、芽が出てとても栄養価が高い植物になる。吸収も消化も抜群で良い事だらけなのよ!」アガトいわく、スプラウティング=「種子」を食べ慣れた「植物」に変える作業なのだ。

芽を出すと種子や豆の中に蓄積してきた栄養素が新たなビタミンや栄養素に変化して、栄養エネルギーが最高レベルになるのです。と、そんな事を知ってしまったら、全ての種子や穀物類をスプラウティングしたくなってしまう!

もう何年も玄米はスプラウティングして炊いてるけど、他もやってみるとグングン芽の成長が観察出来て面白い!種子の状態や環境条件にもよるけれど、大体2〜3日で発芽してくる姿はなんとも可愛らしい。

ひよこ豆、大豆、白インゲン豆などは比較的簡単にスプラウティング出来ます。発芽したら、カレーやスープ、サラダのトッピングなど色々使えて便利。

黒豆もスプラウティング!これで黒豆煮を作るとぐちゃぐちゃになるのでおすすめしませんが、黒豆茶におすすめ。軽く炒ってお茶にして飲んで楽しんだ後、黒豆ご飯として炊きます。無駄なく完全なるホールフード!

一番コツがいるのは、キヌアのスプラウティング。あまりに小さいので芽が出るのか?と疑っていたけど、ちゃんと出ます!発芽したキヌアは、全ての必須アミノ酸、高プロテイン、植物繊維、鉄分が豊富な最強スーパーフードに変身。しかも発芽すると生でも食べれるので、そのままスムージーやサラダのトッピングにしたり。私は朝食のオートミールと一緒に軽く調理してから食べるのが好みです。

ちなみにかぼちゃの種は発芽しずらい種子の1つ。こちらはオーブンで海塩と少量のココナッツオイルと一緒にさっと焼いて、ヘルシースナックとして頂きます。

小さな種子に宿る、大きな生命力。

どんなものにも命が宿り、食べることは命(エネルギー)を頂くと言うこと。袋や容器の中で静かに長期間眠っている種子や穀物でも、溢れんばかりのエネルギーが詰まっています。スプラウティングをしてその栄養素を最大限に目覚めさせてあげる事を心掛けてみませんか?

因みに、貴重な栄養素を壊さない為にもなるべく火を通さないか、46度以下で軽く調理する位で頂くのがおすすめです。

Wine Country Okanagan

カナダは実はワインの国です。大半が自国消費されるので、ほとんど輸出される事はありませんが、テロワール(風土と土地の個性)を重視したクオリティーの高いワインが数多く生産されています。その為、環境やサステイナビリティーに配慮したワイン作りが主流になってるワイナリーが多いのも特徴です。

BC州は、3702019年度統計)ものワイナリーが存在し、年間100万人以上の観光客で賑わいます。その中でも、オカナガンは「世界一美しいワインの産地」と呼ばれ、カナダワインの代表産地。南北に長くのびるオカナガン湖を中心に、ケローナから南はサマーランド、ペンティンクトン、ナラマタ、最南のオソユースとシミルカミーン渓谷まで、沢山のワイナリーが点在しています。

毎年大勢の観光客で賑わうオカナガンですが、コロナの影響とワイナリーの現状を、ローカルサポート「VOICE」の一環で取材して来ました。バンクーバーの日本語情報誌、「ふれいざー」9月号に投稿させて頂いた記事を織り交ぜながら、オカナガンの魅力をご紹介します。

オカナガン渓谷に隣接するシミルカミーン渓谷は、急斜面の山に囲まれた細長い渓谷です。風が絶え間なく吹くため害虫から守られ、農薬等の散布をあまり必要としない特徴もあります。「カナダのオーガニックキャピタル」として知られるほどオーガニック農法が盛んな地域でもあります。

ここシミルカミーン渓谷でナチュラルワインに力を注ぐ家族経営のワイナリー、Orofino –オロフィノ」。オーナー夫妻は元教師と元看護婦という異業種出身。2001年にサスカチュワン州から引っ越して来た時は、トラクターに座った事もない農業未経験者でしたが、今はシミルカミーン渓谷を代表するオーガニックワイナリーです。

サステイナビリティーにも拘り、わら式の屋内で温度管理は自然に任せ、じっくりとワインを自然発酵させて行きます。ワイナリーの電力も太陽光発電で補い優しい温もりを感じます。元看護師の奥様は元看護師なので、テイスティングルームの安全&衛生管理が徹底されていて、安心した時間を過ごさせてくれる配慮も流石。

「ワインキャピタル」と呼ばれるオカナガン渓谷の南に位置するオリバーは、BC州の約半分の葡萄畑があり、ここだけで40以上ものワイナリーが営まれています。パンデミックの真っ只中でも、新しいワイナリーが幾つか誕生していました。

French Door-フレンチドア」は今年6月にオープンしたウェスト・バンクーバー出身の家族が経営する可愛らしいワイナリー。フレンチシック漂う白を基調にしたテイスティングルームはフランスの田舎のファームハウスのイメージ。もちろん葡萄は全てオーガニック&自然発酵のワインです。プロヴァンススタイルのロゼが人気で、なんと今年は生産したワインが7月末には全て完売という好調スタート!これからが楽しみなワイナリーです。

Phantom Creek –ファントムクリーク」も同じくオリバーに6月に誕生したばかりの新星ワイナリー。オーガニック&バイオダイナミック農法のこだわりと世界有数の最先端の施設で作られるワインは「最高峰」という名が相応しく、今現在はワイナリーかオンラインオーダーのみ、ここのワインを飲む事が出来ます。

ゲートを抜けて小高い丘に向かってドライブしていくと、別世界のような美しい光景が待っています。美術館のように美しい施設、絶景に溶け込んだモダンなパティオ訪問の際は、ワイナリーツアーとテイスティングを必ずセットに予約して欲しい!CEOのシリー氏は、カルフォルニアとチリの有数なワイナリー経験の持ち主。ファントムクリークのワインを世界レベルのワインにすると張り切っています。

場所を移動して、お次はウエスト・ケローナへ。1859年、ここケローナで最初のブドウの苗が植えられたのがオカナガンワインの始まりと言われています。

Kalala Oragnic –カララ・オーガニック」のオーナーのカーネイルさんはインドのパンジャーブ出身でシーク教徒。「お酒を飲まないワインメーカー」として知られていますが、彼の作るワインは数々の賞を受賞しています。

カララは「奇跡の場所」という意味。コロナの影響で5月・6月とワイナリーを閉じていた際、支えてくれた人々に感謝を込めて、夏の間BC州内1ケース以上から送料無料キャンペーンを実施中。毎年限定でリリースされるオーガニックアイスワインも絶品です。

サマーランドは、オカナガン湖の南西に位置するなだらかな葡萄畑と青々とした湖が望めるとても美しい場所です。

ワイン作り8世代目の歴史あるドイツ系家族がサマーランドに移住を決めたのは2003年。8th Generation・エイスジェネレーション」は、今ではこの地域を代表する実力派ワイナリーです。もちろんお得意はリースリング!種類も豊富!スパークリングロゼには自家製炭酸を注入していると言うこだわりも。古い農家を改築したウッディーなテイスティングルームの中は、家族の歴代写真やローカルアーティストの作品が飾られ、友人宅に招待されたような居心地良い雰囲気が漂います。家族総勢でワイン作りに勤しむ姿勢にもほっこりさせられます。

Sage Hill・セージヒル」はサマーランドの外れにある、静かな道の行き止まりにあるワイナリー。周りはラベンダーの花が咲き乱れ、すぐ目の前にはオカナガン湖が広がり素敵な時間が流れています。

元大工でバーナビー出身のオーナー、リックさんがワインに興味を持ち始めたのはなんと幼少期!祖父が裏庭で穫れた葡萄で手作りワインを生産していた事がきっかけでした。ワインは全てオーガニック&ビーガンワイン。バンクーバーの高級ホテルを始め、数々のFarm-to-Tableのレストランに卸しています。因みに、彼の息子が近年手掛ける「Keenan-キーナン」ワインも人気急上昇中だそう。

最後の訪問地は、オカナガン湖の東側に位置するナラマタ。丘の斜面にびっしりと葡萄畑が連なり、大小様々なワイナリーが肩を寄せ合うように点在しています。その中をすり抜けるように走るナラマタロードをドライブするだけでも楽しい気分になります。

La Frentz –ラ・フレンツ」はナラマタを代表する実力派ワイナリー。オーストラリア系オーナーは、母国オーストラリアとオカナガンで長年の経験を持つベテラン。ここで7年間働くワインメーカーのドミニクさんも同じくオーストラリア出身。

サステイナブル農法で、「美味しい葡萄を育てる事が美味しいワインを作る」と断言。葡萄収穫後はあまり人の手を掛けません。ほぼ全てのワインが無清澄・無濾過で作られているのは、葡萄に絶対的な自信を持つ証です。ポートフォリオとリザーブの2種類のテイスティングが用意されていて、出来れば両方トライ!迷ったらリザーブがおすすめです。

Poplar Grove – ポプラーグロウヴ」は、オカナガンを代表するワイナリーで、男系の一族。初代オーナー・父親トニーさんと4人の息子家族(孫5人も全員男子!)がワイナリーの全ての業務に携わっています。生産されたワインの95%BC州で消費されると言うローカル人気が根強いワイナリーでもあります。敷地内にはレストランもあり、ワインとペアリングしながら食事も楽しめます。コロナ危機で経営難に曝されている飲食業界の支援の為に「レイクビューロゼ」のオンライン売り上げ毎$5BCホスピタリティー基金に寄付しています。でもやはり、ここの看板はピノグリ!作っても作っても足らない程の人気ぶりです!

華やかなイメージのオカナガンですが、今年は色々なチャレンジに直面しました。ワイナリーの応援は、現地へ訪れる事はもちろんですが、家に居ながらにしてサポート出来ます!クラブメンバーに入会したり、直接オンラインオーダーしたり、レストランやバーで意識的にカナダワインを飲んでみたり。

これから秋の収穫を迎えるオカナガン。今年は各テロワールでどんな葡萄が育ち、どんなワインになっていくのか。それぞれのワイナリーの想いが詰まったワインと来年出会えるのが待ち遠しいです。

Photos by YUSHiiN LABO

 

 

Potato Diary

「直心是道場」(じきしんこれどうじょう)と言う禅語を本で読んだことがあります。「大切なことは環境を整えることではなく、志を持つこと」と言う意味ですが、その言葉を胸に、今年の夏は自宅のバルコニーで小さな家庭菜園に励みました。

家庭菜園には庭が必要。庭でなくてもせめてコミュニティーガーデンでやってみたい。バルコニーでは難しい。毎年いろいろな思いがありましたが、今年は思いつく野菜を自由に育ててみる事にしました。

市販で購入したオーガニックのジャガイモに芽を生やしてしまったことがきっかけで、ジャガイモ栽培を試みる事に。いざ、ジャガイモ栽培といってもすぐに出来る訳ではありません。種芋から育てるには時間とケアが必要です。芽が生えたジャガイモを日当たりの良い室内に2週間ほど置いて、さらに芽を成長させます。十分な大きさに育ったら、ジャガイモを半分に切り、発芽した芽が両方に2つずつ残っていることがポイント。切り口を炭でカバーし、更に2日ほど日光に当て乾燥させると種芋の出来上がり。

3週間の種芋製作後、54日に植え付け。ジャガイモは深さと大量の土が必要なので、バルコニーでも身軽に出来るようポリ素材の鉢を使用しました。しかもこの鉢は脇にジッパーで開閉できる「窓」が付いているので、土の中のジャガイモの成長を確認する事が出来てとっても便利!土は鉢一杯に入れるのではなく、最初は1/3程度でOK!その中に種芋を優しく植え付けます。

 

5月と言ってもここはバンクーバー 。冷え込む日もありましたが、10日程でなんとも可愛らしい青い芽が顔を出してくれました!

芽が出たら後は放置プレーでも、たくましく育ってくれるのがジャガイモくん。4日後にはグングン元気な姿に成長していました。

芽が15~20cmの高さになったら、「Mounting」と言う土を盛る作業をします。一番上の葉だけが見えるくらいまで土を被せ、ジャガイモの成長を促していきます。この作業を2回ほど繰り返したら、うちの鉢はもう一杯になってしまいました。

成長中のジャガイモはバルコニーに小さな緑のオアシスを作ってくれて、何とも気持ち良い~~。このままずっと緑でいて欲しいと思ったほど。お水は土の中に指を深く入れて、乾燥していればあげる程度でOK

収穫は120日後~様子を見て行いますが、7月半ばに1週間程留守にしたら何とあんなに青々しかったジャガイモの葉が一気にしな垂れていました。早いけど収穫のサインと判断し、水やりをストップして1週間ほど掛けて茎と葉がカラカラに枯れるのを待ちます。

早くも約90日間で第一弾収穫の日を迎えました。最初は手探りで、土の中にちゃんとジャガイモが育っているか、幾つあるかとドキドキしながら掘っていくとゴロッとした手探りが!しかも何個も!思わず歓喜の声を上げてしまった嬉しい瞬間でした!

この鉢からは大小のジャガイモ計15個収穫しました。

もう愛おし過ぎて永久保存したい位でしたが、食べられるために彼らも立派に成長してくれたのでありがたく頂きます。我が子の写真撮影を済ませて、ホヤホヤの新ジャガを頂きました。ジャガイモが華となるメニューを考えるのもまた楽しいものです。

2弾収穫日はその1週間後。こちらは小粒も多かったけど、大中合わせて20個ほど収穫しました!

驚いたのは親となった種芋が薄皮1枚のぺらぺらの姿になっていた事。栄養分を全て注いでくれた証拠です。ちなみにもう一つの鉢では跡形もなく土となり消えていました。

ジャガイモ栽培は何か一つの命のライフサイクルを短時間で目撃した気がして、ちょっと胸が熱くなりました。命を育てるとは本当に学び多いものですね。

やりたい事全てのものは、志があれば今その場でクリエイトすることが出来る。場所に囚われず今いる場所で、あるもので、何が出来るのか。クリエイティブな家庭菜園はまだまだ続きます。

Hear Our VOICE!

今、私の世界はローカル一色です。日本とカナダを頻繁に行き来している私にとって、カナダは心の充電をする大好きな場所。ロックダウン生活は、そんなカナダの生活環境に腰を下ろし、自分の周りを見つめ直す良い機会になっています。

クリエイターとして、ローカルを愛する1人として、今何が出来るだろう?そんな想いからVOICE(ヴォイス)はスタートしました。

VOICEは、カメラマンである夫と一緒に、現在苦境に立たされているローカルの飲食業に関わる人達を回り、彼らのポートレイト写真とメッセージをソーシャルメディアを通して紹介する活動です。彼らのリアルな「顔」と「言葉」で、地元に根付いた安心安全な食を知って貰うと同時に、テイクアウトやデリバリーで必死に経営を繋いでいるお店をサポートして欲しい、と言うメッセージを伝えています。

4月中旬から始めたVOICE。もうすぐ1ヶ月が経ちますが、お陰で毎日が忙しくあっという間に過ぎていきます。私達夫婦はこの壮大な国カナダで、敢えて車を持たない生活をしているので、徒歩やバスを乗り継いて目的の場所へと向かいます。その途中で偶然出会う隠れ家的なお店もあったり、自分の足で歩いて回る楽しさを日々実感しています。

そして何より、ローカルの食文化を築いている素晴らしい人達と日々出会えることは大きな喜びです。馴染みあるお店でも、普段は慌ただしくキッチンやフロアーで働くシェフやオーナーとじっくり会話する機会はなかなかありません。彼らから今の状況や食に対する想い、1皿ごとに込められたストーリーを聞くことで、私のローカル愛は益々強くなっています。

お互い大変な状況にも関わらず、「来てくれてありがとう!」と新鮮な食材を手渡してくれたり、その場でサッとおもてなしランチを拵えてくれたり。サポートに来ている私達が、逆にサポートされたり倍の元気を貰ったりと、どんなに大きな原動力となっているか計り知れません。

決して自分達ばかりでなく、どんな時でも他者を考え、「あのお店にはもう行った?」「あの人も訪ねてごらんよ!」と教えてくれる姿勢が心を温かくしてくれます。

VOICEがスタートしてから、お店を個人の名前で知ることができ、ローカルの食の繋がりにもかなり詳しくなりました!

長期に及ぶロックダウン生活の中で、私はより一層自分の住むローカルを愛おしい眼差しで見つめています。彩り豊かなコミュニティーにしてくれているのは、小さいながら存在するローカルの人達です。これからまた自由に移動が出来る世の中になっても、この小さなコミュニティーがカラフルであり続けて欲しい。VOICEを通しての新しい出会いは、ロックダウン生活で私の1番の宝物になりつつあります。

是非、VOICEの活動のフォローをお願いします💛

インスタグラム:@yushiin_labo_

フェイスブック:YUSHiiN LABO

Cherish Food Life

食材の鮮度=命をどう大事に長持ちさせるか?ロックダウンの日々の中で、スーパーマーケットに行く回数を減らす為、野菜を少し多めに買う事が多くなった私の最近のミッションです。

何年も前からバイブルの様な存在の「野菜の便利帳」は、100種類以上の野菜、果物、ハーブの効能や保存・調理方法が細かく記載されていてとっても便利!

私はお野菜を少し多めに買っては半分を冷凍保存します。そうすると1ヶ月はちゃんと鮮度を保つ事が出来ます。トマトの様な農薬が多く使われる野菜は、しっかりと残留農薬除去の一手間を加えてから丸ごと冷凍保存します。

キュウリの様な水分を多く含む野菜は、冷凍には不向きです。自家製ピクルスにしたりザワークラウトに入れたりすると、長期間美味しく頂けます。

自分でオーガニック野菜を買って冷凍保存用に仕込めば、市販の冷凍モノを買わなくて良いし、何より美味しくフレッシュな食感もキープ出来ます。長年大嫌いだったグリーンピースも自分で煮て冷凍したものを食べたら、甘くてホクホクしていてあまりの美味さにびっくり!!今まで市販のグリーンピースしか食べていなかったんだなと気がつかされました。

野菜は、栄養満点の糠漬けにもします。糠床に一晩漬け込む事で、ビタミンB110倍にも増えるそうです。その他にも植物性乳酸菌、タンパク質、カルシウム、酵素、鉄分など、体や免疫力、美肌に効果が期待出来るものが沢山揃っています。ぬか漬けを具材とした押し寿しにすると、とても華やかで立派なメイン料理ともなります。

根っこのついた野菜が手に入ったら、捨てずに水栽培するとグングンと新しい芽が出てきます。1番簡単な野菜は小ネギ。我が家はこの1年程、スーパーで$1程で買ったオーガニック小ネギを水栽培から土に植え替え元気に栽培しています。レタスも水栽培すると可愛らしい葉っぱが次々と育ってくれて、買い足す必要がありません。今年はバルコニーでじゃがいも栽培にチャレンジしてみようと、種芋も作っています。

また、最近ハマっているのがギー作り!オーガニック無塩バターで作るギーは、バターの中の水分と不純物を取り除いた純粋な油。アユールヴェーダでは「奇跡のオイル」と呼ばれています。料理にはもちろん、ビタミンAやビタミンEを多く含み、腸内環境を整え脂肪燃焼をサポートするなど、体の内側からあらゆる健康と美容のサポートをしてくれる!私は眼精疲労を感じた時に、ギーを目周りにマッサージして眠るのがお気に入り。そして、何と言ってもギーは常温で永久保存できる!消費期限が短いバターに比べて腐る事がないので、最高の保存食となります。

食材の命を伸ばすも縮めるも、自分次第。ちょっとしたひと工夫で、その命をありがたく長くいただく事ができます。ロックダウン生活を丁寧に、細く長く過ごす事はクリエティブでとても充実しています。

Get Creative with Hands

味噌作りには寒仕込みが適していると昔から言われますが、今年も日本とカナダで1月と3月に味噌を仕込みました。カナダでの寒仕込みは今回が初めて!せっかく仕込むなら全てローカルな素材でと、麹と大豆はチリワックでMade-in-Canadaの手作り醤油を仕込んでいるKoji Fine Foodsから仕入れました。味噌作りの日の為に出来たてホヤホヤのオーガニック生麹を作ってくれて、大豆もカナダ東部から仕入れたと言うオーガニック大豆を贅沢に使用。

今までは乾燥麹を使っていましたが、やはり生麹は香り豊かでふわふわの手触り!麹菌のパワーも強いので、発酵食品がより短い期間で出来るそう。味噌作りに興味ある友人達と一緒に、みんなで豆を潰したり、捏ねたり、お喋りを楽しみながら4時間程かけて仕込みました。

そんな毎年恒例に取り組んでいる普段通りの味噌作りが、とてもかけがいのないものであると思い知らされたのはそれから間もなくの事です。

世界中で感染が広がるコロナウィルスの危機がとうとうカナダでも深刻化して来ました。国境が閉鎖され、お店やレストランが続々と臨時休業を余儀なくされる中で、先の見えない不安にカナダ人も他の国々の人と同じく、食料のパニック買いに走っています。モノがなくなるから買込むのではなく、モノが少ないならば、いかに今あるモノを大切に活かしながら厳しい時期を乗り越えるのか、と言う方がサステイナブルな生き方に繋がるのではないでしょうか。そんな時、私はいつも自分の手に意識を戻すのです。

私はもともと手料理が大好きなので、今はキッチンで発酵食がフル活動中!!!味噌作りで余った麹で塩麹や甘酒を作って常備しています。オーガニックの大豆があれば、簡単に手作りのオーガニック納豆も作れます。一度では食べきれないので沢山冷凍保存してゆっくり楽しみます。

野菜はぬか漬けにしたり、ピクルスにする事で長期保存出来ます。料理で余ったくず野菜や少し古くなった野菜でもぬか漬けにするとビタミンB1たっぷりの栄養価を美味しく頂けます。

骨つきチキンの食べ残しや鳥ガラを利用してチキンストックも作ります。好みでナツメやジンジャーを入れて中華風にしたり、塩麹を入れてあっさり塩味にしてみたり。手作りチキンストック はスープには勿論、ソバ用のスープや炒め物にも使えてとっても万能!しかも骨をじっくり煮込むからコラーゲンを摂取でき、翌日の肌はプルンプルン♫

お菓子が食べたければ自分で焼けば良い!イーストさえあればパンやピザも作れるから、これからチェレンジしてみようと思います。

抗酸化作用・抗菌作用が優れたハーブティーやティンクチャーもメディカルハーブの知識と自然の恵みをちょっとおすそ分けして貰えば、簡単に家で作れ、日々の健康を守ってくれる薬となり得ます。

スプラウティングジャーがあればブロッコリースプラウト、レッドクローバー、ムングビーン、フェネリーグなど色々な種を発芽させてフレッシュに、より高い酵素を生きたまま沢山体内に取り込めます。

時間と労力はかかるけれど、何より手作りのモノは1番自分と相性の良い食べモノとなり、免疫力の高い心身を造ってくれるのです。

陽射しも暖かくなり始め、そろそろバンクーバーも春本番です。少しでも庭やバルコニーにスペースがあるなら、家庭菜園などいかがでしょう?自分の必要なモノを自分で生み出す事が少しでも出来るなら、よりストレスフリーに、より思いやりの心を持って、この不安定な時期をクリエイティブに過ごせるのではないでしょうか。

Charity Fun

チャリティー精神は、カナダに住んでいると日常的に触れる機会が多くあります。援助すること、寄付すること、人のために行動したり思うこと…。チャリティー 精神はあっても、どう始めれば良いか分からない、敷居が高い、お金に余裕がある人がやること、と難しいイメージを持っている人も多いかもしれません。カナダでは、チャリティーはごく身近にあるだけでなく、1つのイベントとして自分が思いっきり楽しむ場でもあるのです。

11月、北米屈指のスキーリゾート地、Whistler (ウィスラー)で毎年恒例の「牡蠣の早あけ世界大会」が行われました。ウィスラーのリステルホテルに隣接する高級レストラン、Bearfoot Bistro(ベアフットビストロ)が主催するこの大会は、今年で9年目を迎えたチャリティーイベント。

冬のプリプリの生牡蠣がフリーフローで食べれて、ワインメーカー24社、スピリッツ(蒸留酒)メーカー10社、ブリュワリー3社からお酒が振る舞われ、ベアフットビストロの創作小料理まで頂けると言う、牡蠣とお酒好きには夢のようなイベントです!

そして、収益金はローカルコミュニティーの基金へと寄付されるので、自分が食べて飲んで楽しみながら何かの役に立っていると言う、何とも嬉しいチャリティーイベント。

一夜でどれだけの牡蠣が消費されるかと思わず心配になる程、約1,000人の来場客はイベント開始と同時に牡蠣ブースで生牡蠣を頬張ります。この主役の牡蠣を毎年チャリティー提供しているソーミルベイ社のオーナー、スティーブン・ポーコックさんとの出会いは私の中で新しいチャリティー像を構築してくれたと同時に、このイベントの隠れたヒーローでした。

12年間牡蠣の養殖業をバンクーバー北西の沖合にあるリード島で家族で営むポーコック家。元は、イギリスのオックスフォードで農業を営み、カナダの内陸部に移住して来たそうです。内陸部でも同じ農業と家畜業を始めたけれど、冬の厳しい寒さに耐えきれず、気候が穏やかなカナダ西海岸に引っ越しを決め美しいリード島と出会ったのです。そこから、牡蠣の養殖がスタートしました。

陸の動物から海の産物にビジネス転身しても「全く違和感なかったよ。同じ生き物だからね」と柔らかく返すスティーブンさんの牡蠣は北米を中心に世界各地に発送されています。そして一番の売りはローカルエリア内への24時間発送!収穫後24時間以内にバンクーバー市内のレストランや近郊の町へと鮮度抜群の牡蠣を届けてくれます。

食が人を作るように、美味しい食(牡蠣)は人が作るのだと宣言するスティーブンさんの人柄と牡蠣への愛が、イベント会場で鮮明に溢れていました。単に鮮度だけでなく、サステイナビリティー&環境配慮を心掛けて育ったソーミルベイ社の牡蠣は、家族総勢でイベント前に長い時間をかけて準備され、無償提供され、またスティーブンさん自ら社員と一緒に四六時中手を休める事なく「牡蠣は体に良いからドンドン食べてね~!」と来場者に牡蠣をせっせと剥いてくれました。どんなに混み合っても笑顔と牡蠣を絶やさず、大会の優勝者には「うちの牡蠣を綺麗に早く剥いてくれてありがとう!」と言わんばかりの満面の笑みで握手を交わし、夜中のアフターパーティーも全力で駆け抜けちゃうスティーブンさん。これぞチャリティー精神をフルに謳歌している姿、と感じずにはいられませんでした。

世のため。人のため。そこに自分も喜ばせる時間があるチャリティーイベントは、無理なく等身大で、きっと誰でもすっと入って行けるはず。形式ばらずに、気がついたら何かの助けになっていたり。チャリティーとは、そんな純粋な喜びや遊びのマインドから生まれるもので良いと思うのです。自分の好きなことがチャリティー精神を育む。私も、大好きな牡蠣とワインを両手に貢献できて幸せ三昧のひと時を過ごしました。

A Journey of Pilgrimme – part 2

Pilgrimme(ピルグリム)のシェフ、Jesse McCleerly(ジェス・マックリーリー)の1日は朝の8時、淹れたてのコーヒーと共に始まります。レストランの営業日はそこからノンストップ。夜中までひたすらキッチンに立つのです。休日は買い出しや仕込みに追われ、5月に読み始めた村上春樹の小説も1ページもめくれない忙しさ。

そんな多忙なシェフを支えるように、農家や近隣の住人が家庭菜園で採れた珍しい食材をひっきりなしに運んでくれます。全員の収穫をどう平等に取り扱うかが至難の技で、「とても贅沢な問題だけど…。」と笑って返すシェフに、島の人達は「来年はどんな野菜が欲しいの?何を作って欲しい?」とリクエストを聞いてくるんだとか。そして決まってシェフは、その土壌に最適な野菜を育てて下さいとお願いするそうです。

観光客が少なくなるローシーズンは、Pilgrimmeの大半のお客はローカルに入れ変わります。自分達が育てた野菜が、シェフのマジックによってどんな変化を遂げるのか、そんな期待と誇りを持って皆食事を楽しむのではないでしょうか。シェフの掲げる地消地産は、温かさと微笑ましさに包まれたローカルコミュニティーとの絆の深さあってのものなのです。

彼らの農場まで出向く時のドライブも、シェフにとって貴重な時間。運転しながらの束の間の静かな時間と、その先で手にとったフレッシュな野菜を見た瞬間に料理のインスピレーションが湧くそうです。

1で変わるメニューもあれば、1回きりで終わってしまうものもある。「全ては自然の成り行きで進んでいるんだよ」と、柔らかく語るシェフの生き方そのものが、料理に投影されている気がします。

レストランがお休みになる12月半ば~3月は、好きな読書やハイキングを楽しんだり、新しいレストランを試しに行ったり、時々友人の厨房に助っ人で入ることもあるそう。そんな行事をこなしているうちに春がやって来て、Pilgrimmeのキッチンがまた賑やかになります。

Pilgrimmeもそんな彼の日々に沿ってゆっくりと変わります。長い計画は1年先までが精一杯だから、とりあえず来年の夏にはパティオで楽しめるランチサービスをスタートする為にちょっと改築したい。余裕があれば、コースメニューの他にシェアプレート(大皿メニュー)やフィンガーフードを加えてみるのも楽しいかも。と、今の形に留まらず、彼自身の旅の途上で自由な構想と「成り行き」で変化していく様がとてもピュアでしなやかで新鮮に映ります。

因みに、レストランPilgrimmeのスペルはデンマーク語。英語スペルは「Pilgrim」で遠い長旅をして聖地に向かう巡礼者を意味しますが、シェフの過ごしたデンマークのNOMAでの時間は彼自身がPilgrimmeでした。

遠く離れた場所を好み、旅を経てしか辿り着けない山小屋のテーブルに座った時、シェフの次なるジャーニーへと招待されて行く唯一無二の存在のPilgrimmeはガリアノ島の青い森の中にひっそりと佇み、旅人を温かく迎えてくれます。

Photo by: YUSHiiN

[IN ENGLISH]

Pilgrimme is closed from mid-December to March.  During this time, McCleerly enjoys going on hikes and catches up with his reading.  It’s also a time he gets to recharge but it sounds like he sometimes doesn’t get too far from the kitchen.  He has been known to help at his friend’s restaurants in the city and enjoy a meal or two at any new establishments.  Once it starts to warm up for Spring, McCleerly is back at his kitchen.

A typical day at Pilgrimme begins at 8am with a freshly brewed coffee. It ends well into the night after all the patrons and staff leave.  He may find himself away from the restaurant on his days off but it is usually filled with errands to help with food preparation like picking up ingredients from the local farmers and foraging the forest grounds.  

The dedicated farmers appreciate the busy chef and often drop off their yield as a loving gesture of support.  The Island’s gardeners also find their way to drop off their unique harvest to the chef; a true symbol of sharing rooted in Galiano.  McCleerly remarked that figuring out how to use all the abundance is a dilemma that he is always happy to have.  When the farmers asked what kind of crops he would like to see grown for the coming season, his supportive response was always “Whatever works best with your soil”.  I felt a deep respect and an awareness of each other’s importance between the smiling chef and the loyal farmers of Galiano Island.  The farm-to-table concept of Pilgrimme is deeply linked to the tight-knit support and love in the island community.  

I was told that local residents often fill the cabin during the shoulder season when there are fewer tourists.  I was in awe that the island community shows its support this way too.  I imagined how it would feel like as a resident dining at Pilgrimme.  I could only appreciate that their hearts must fill with pride when they are nourished by their harvest, their Galiano.  It must feel gratifying and encouraging especially because it is made by McCleerly who is equally passionate about Galiano as they are.  

McCleerly explained how he often finds inspiration when he visits the farmers.  The drive, the farm smell and the fresh produce in hand all help him discover what to create for the spread at Pilgrimme.  His menu is an organic concept.  There may be menu items that change weekly, and some may only be offered at one sitting.  This nonrestrictive approach to creating the dishes work in harmony with the Island and McCleerly’s vision.  After spending some time with him, I could see that the process of making his dishes was an embodiment of how McCleerly viewed life as well.  He focuses on the present moment and tries not to think too far ahead.  Small changes happen as they happen.  He ponders about a new lunch service on the patio next summer.  Ideas of adding share-plates or finger foods run through his imagination.  Rather than forcing a course of action, McCleerly cherishes the process of change when it feels ready to do so.  He treasures the journey thoroughly and deliciously.  

The namesake of his restaurant came full circle to me.  Pilgrimme is the Danish equivalent of pilgrim, paying homage to his time at NOMA in Copenhagen.  I encourage you to find your way to the blue forest of Galiano Island.  On your journey, smell the salt in the air and feel the waves underneath you.  On your walk, breath the forest heavens and listen to the twigs and leaves on each step.  When you see the glow, anticipate the warmth and make your way closer.  When you hold the door open, prepare your five senses.  I assure you, this is a Pilgrimme worth making.
English Translation by Anna Sano

 

A Journey of Pilgrimme – part 1

都市の中心からずっと遠く離れた場所。旅をしないと辿り着かないような人里離れた場所にレストランを作りたい。そんな想いで、ガリアノ島にあるFarm-to-Tableレストラン、Pilgrimme(ピルグリム)は誕生しました。2015年にオープンすると瞬く間に同年のカナダの新しいレストランTOP3に輝き、それ以降もベストレストラン100選の常連を貫いています。

ガリアノ島の旅行を決めたのも、Pilgrimmeを訪れてみたかったから。レストランで旅先を決めるなんて今までにない経験です。こんな小さな島でピークシーズンには予約は1ヶ月前に埋まり、カナダ全土から、世界各地から、人々が食べにやって来ます。1年の内オープンするのは約9ヶ月、週4日、毎晩25名限定に振舞われる料理とはどんなものだろうと、ずっと気になって仕方ありませんでした。

Pilgrimmeで食事をして貰うことはガリアノ島を体験して貰うこと」と、語るシェフのJesse McCleerly(ジェス・マックリーリー)は、「スターシェフ」と言う肩書きとは裏腹にゆるやかな川の流れのような佇まい。伝説のレストランNOMAでの見習を経て、カナダで自分のレストランを開く場所を探していた最中に、偶然ガリアノ島と巡り会ったそうです。半年以上置き去りになっていた元フレンチレストランを改装して、森の中にポツンと暖かい灯がともる居場所を作ったのです。

実際、Pilgrimmeの敷地に入ると何だか実家に帰って来たような、心がストンと落ち着く空気が漂っています。長い旅路の先にたどり着く山小屋の中は、モダンでいてどこかノスタルジック。「ただいま~。今日のご飯なに?」なんて会話があっても不思議でない居心地の良さがあります。

徹底的な地産地消のこだわり、環境へのインパクトも配慮しつつ、シェフ自ら海や森に繰り出して、その土地のその時の恵みを採取します。

カヤックを漕いで取った昆布、ビーチに生えている海草、森に生息するキノコや葉や枝も料理に加わり、それでもどうしても島で手に入らない野菜やお酒類を、フェリーに乗って近郊のビクトリアやバンクーバーから仕入れて来るそうです。

Tasting Menuと呼ばれる8コースディナーの品書は、使われた食材がごくシンプルに綴られているだけですが、実際に見て食すと、とっても複雑な素材のコンビネーションプレーに驚くばかり!

特に可愛らしい日替わりのSnacks(スターター)。ローストされたかぼちゃに発酵したローズの花びらとカリカリに焼いたワイルドライスが添えられていて、香り・食感・味ともに絶妙なコンビネーションで最初からノックアウト!スタッフも「まだ新しいメニューで私も食べたことないのよ」と羨ましそうに語ってくれました。

5感で楽しませてくれるメニューは島の風土と季節をテーブルに運んで来てくれます。

料理を引き立てるつけ添えのオイル、発酵も、麹も、全て自家製。焼き上げられた熱々のポテトと古代米のサワードウブレッドのお供はお手製の焦がしタマネギのバター。ホイップクリームのようにふわっふわっで、これだけでお酒が進んでしまう程でした!

一つ一つの調味料や脇役の全てがガリアノ島の「今日」の味を表現しています。

日が経っても、レストランで体感した味を一品ずつ覚えているとはなんて素敵なことでしょう。旅のアルバムの様に、一度食べたら忘れないスペシャルな思い出を作ってくれる、そんな場所です。

(後編へ続く)Photo by YUSHiiN

[IN ENGLISH]

Pilgrimme – A farm-to-table restaurant quietly found its place on Galiano Island in 2015.  A place where their patrons travel far from the city to experience all of what Galiano has to offer from its land and surrounding waters.  It became one of Canada’s top 3 restaurants in its opening year and has continued to rank highly as one of the best restaurants to dine in Canada.

I wanted to make my way to Pilgrimme so I carefully planned my travel to Galiano Island with the secluded destination in sight.  It was genuinely a unique experience to have this restaurant as the reason for my travel.  The restaurant operates 9 months out of the year.  Reservations have to be made at least a month in advance during the peak season as people from all over Canada and around the world come to taste the culinary magic.  Only 25 lucky patrons get to dine on each of the 4 nights per week during the open months.

I had the pleasure to meet the owner and chef.  “To eat at Pilgrimme is to experience what Galiano Island is,” says chef Jesse McCleerly, whose presence is like a gentle flowing river.  His demeanor was a beautiful contrast to what I would have expected from his title of Canada’s “star chef”.  After an apprenticeship at the legendary NOMA restaurant in Denmark, McCleerly jumped on the chance of a vacant property on Galiano Island.  He transformed the former French restaurant into a warm and inviting place where people can come to be nourished by the surrounding landscape.  Pilgrimme stood softly lit in the evening forest; the glow from the restaurant enticed the way for its visitors.

When I arrived at Pilgrimme, there was a feeling of calm in the air as if I had come back home after a little journey. I basked in a nostalgic feeling when I stepped foot in the forest cabin. The place was so inviting that I found myself wanting to say “I am home!  What’s for dinner tonight?”

McCleerly’s thoughtful menu paid close attention to local ingredients with dedication to sustainable environmental practices.  Menu items were dotted with blessings of the season’s abundance, including items that were foraged by McCleerly, himself: seaweed collected from the island’s beaches, kelp picked while on a kayak out in the ocean, mushrooms, leaves and branches harvested from the old growth forest.  Other ingredients and alcohol that aren’t available on the island are purchased during his weekly ferry outings to nearby Victoria and Vancouver.

I enjoyed the eight course tasting menu.  Each course had a simple list of ingredients with a short description.  I was surprised and amazed by the combination of complex flavours and textures offered by each dish.  The winter squash with fermented rose petals and roasted wild rice puffs was particularly amusing as a starter.  I can still remember the exquisite aroma and texture that set up the beginning of my dining experience.  Menu items listed with deceptively “simple” ingredients like the potato and heritage grain sourdough with fresh butter and burnt onion were full of flavour and heartiness.  This particular dish, with a white wine pairing, left a lasting smile of tranquility for the rest of the evening.  The tasting menu entertained all my five senses, or shall I say, the Island did.  All of what the season had to offer from the island was on the table in front of me.  McCleerly’s time consuming work of making infused oils, fermenting ingredients and crafting koji created the depth and complexity in all of the offerings.  Every single detail expressed the taste of what was Galliano’s “today”.

I look back to this experience at Pilgrimme with fondness.  Every dish encapsulated Galliano Island in the form of an edible curiosity.  In many ways it was an unrepeatable experience.  All the moving parts came together and culminated on to my table that one evening: the island, the ingredients, the chef, the farmers, the staff and the slice of time.  I will never forget how utterly fortunate I was to experience Pilgrimme. (Continued in part 2)

English Translation by Anna Sano