月別: 2019年7月

Powwow at Capilano Reserve

カナダの歴史は先住民なしには語れません。開拓時代からずっと社会的、経済的問題を背負う事になってしまった彼らは1万年も前からこの土地で独特の文化を育んでいました。2016年の統計によるとカナダの先住民は人口の約4.9%(1,673,780人)を占め、BC州だけでも約20万人が暮らし、198の違う部族、30の違う言語が存在します。

先住民という言葉は、最初は「Native Indian」(ネイティブ インディアン) から始まり、「First Nations」(ファーストネーションズ)と言う名称に変わりますが、Metis(メティス)と呼ばれる先住民とヨーロッパ移民の両方を祖先に持つ人々と、Inuit(イヌイット)と呼ばれる北極地方の人々はこれに含まれません。この3部族をまとめた「Aboriginal Peoples」(アボリジナル ピープルズ)という名称がより正しくなったかと思うと、その呼び方は嫌だ!という一部の部族に配慮して、現在正式には「Indigeneous People of Canada」(インディジナス ピープル オブ カナダ)という呼び方が主流です。彼らを表現する言葉一つをとっても、先住民とカナダの歴史はかなり複雑なのです。

影なる歴史はありますが、彼らの独特の文化と伝統はとても魅力的で興味深いです。

ノースバンクーバーにある先住民居住地区で毎年恒例の「Squamish Nation Youth Powwow」(スコーミッシュ ネーション ユース パウワウ)と言うお祭りがあり、今年で32回目になるイベントに行って来ました。Powwowとは踊りの祭り・集会を意味します。会場で踊り、歌い、語り合い、伝統食や工芸品が並び、とても賑やかなイベントです。場所によっては数時間で終わるものもあれば何日間も続くものもあるそうで、スコーミッシュ ネーションのPowwow3日間と比較的大きなお祭り。

日本の盆踊り感覚と言ったら語弊があるかもしれませんが、炎天下の中、みんな色とりどりの衣装を纏い踊り続け、今年のダンスチャンピョンを選びます。頭に狼を被ったり、三つ編みからイタチがぶら下がっていたり、大きな羽根や賑やかに鳴り響く鈴を全身に纏い、まるで美しいファッションショーの中にいる様でした。特に、後ろ姿が勇ましく美しい!

工芸品のショップが立ち並び、お祭りの目玉の伝統サーモンステーキが振る舞われます。

詳しいルールはわかりませんが、大きな広場に円形になってダンススーペースがあり、基本MCが仕切っているけど自分の好きな歌になったら中央に出て来て好きに踊る、みたいな自由さが新鮮。中には神聖な歌や踊りもあり、その最中は写真・動画撮影は硬く禁じられます。彼らの守るべきもの、継承すべきものは余りにも大きく、儚く、そんな一面を垣間見た感じがします。

Powwowは部族の若い世代の為の文化交流の場としても大切な役割を担っているそう。

華やかな衣装と踊りに見入っているといつもとは違う世界にタイムスリップした感覚になります。ふと長老が「ホットドッグとアイスティー買って来て~!」と家族に叫んでいる声で、現代社会に引き戻され、彼らも皆同じ時代を生きているのだと気づかされます。

ちなみに、Squamish Nation1人、Joe  Capilano(1895-1910)は先住民の権利と伝統を守るために戦った先代リーダーで、この様な集いの場でよく語られる名前です。気がつけば、Capilano River, Capilano Road, Capilano Mountain, Capilano Lake…とバンクーバー市民が普段から親しみある地名、憩いの場所はスコーミッシュ ネーション の偉大なリーダーの名が由来だと、一体どれほどの人が知っているでしょう?

彼のまたの名はJoe Mathias。今回のPowwowの会場となったのも100 Mathias Roadでした。

当たり前の様に付いている街の名称を辿っていくと歴史的背景が見えてくる。そんな小さな知識を得るだけで、この土地で生活を共にする先住民との小さな架け橋になるのではないでしょうか。

O Canada!

71日はカナダの152周年建国記念日でした。2679歳の日本に比べると産まれたての赤ん坊の様な国ですが、愛国心は熱い熱い。この日は大勢の国民がカナダカラーの赤と白を纏い、至る所でパレードやお祝い行事が繰り広げられます。

地元新聞紙もCanada Dayに因んで、カナダトレビアクイズの特別ページを用意したり。カナダは10の州(Province)3の領土(Territory)から成り、国内では3つの時差が存在します。「O Canada」は正式には1980年に国歌となり、カナダを象徴する動物はビーバー!(クマではない!)などなど、面白いトレビアでカナダの知識を深めてくれます。

カナダ⇄日本のデュアルライフを始めてようやく2年目になろうとしていますが、今回初めて現地で過ごすCanada Day。この記念すべき日に、友人が指揮するローカルバンドの演奏を聴きに、Sunshine Coast にて過ごしてきました。Sunshine Coastは実は島ではなく半島です。切り立った険しい山々の先にある為、交通手段がフェリーか飛行機でしかなく、のどかな美しい自然が残っている私にとって特別で大好きな場所の1つです。

前夜にフェリーに乗り込み、わずか40分で到着してしまうSunshine Coastですが、バンクーバー本土とは全く別の世界に誘われる、そんな景色が待っています。

Canada Day当日は、Sunshine Coastの一番大きな街、Sechelt(シーシェルト)で盛大なパレードが行われます。大きいといっても人口1万人強のとても可愛らしいコミュニティーです。先住民の言葉で「2つの海に囲まれた場所」と言う名の如く、シーシェルトのダウンタウン?エリアは両端をジョージア海峡とシーシェルト海峡に囲まれていて、端から端まで徒歩でも行けるほど。

カナダ人の朝は早い!9:30amから友人率いるバンド演奏が始まり、街の人達と一緒に一気にお祭りムードに!道沿いには街中、と言うか半島中の人が集まったんじゃないかと思う程大賑わい。特に「O Canada」の演奏では、座っている観客も立ち歌い始めたのが印象的でした。

そしてバンド演奏後は、何か合図がある訳でもなく突然パレードがスタートします。笑

クラシックカーの大名行列は、毎年恒例のお決まりらしい。

その他にもSunshine Coastで活動している沢山のコミュニティーグループが2時間ほど掛けて、思い思いにパレードしていき、通りすがる度に沿道の子供達にお菓子やらグッズを配りまくります。

子供達にとっては誕生日とハローウィーンが一気に来た感じ。カナダは子供と老人を大事にするのはもちろん、社会的弱者や動物にとても思いやり深い支援と愛を注ぎます。何だかこのパレードでは、ほのぼのとその心温かい精神が垣間見れた気がしました。

パレードがまた何気な~く終わると(最終グループは地元の消防隊でした)、午後はゆっくりとSunshine Coastの美しい自然を満喫。

Sargeant Bay Provincial Parkでのビーチタイムでは、カナダで初の海水浴にチャレンジ!北緯が高いだけに夏でも忍耐がいる冷たい海水ですが、この日は炎天下だったこともあり(数分)楽しむことが出来ました。

お次は、大好きな針葉樹が香るトレイルへ。

Soames Hill Parkは、片道30分程でサンシャインコーストとお隣のBowen Island(ボーエン島)と遥か地平線上にはバンクーバー島まで眺められる絶景ポイントがあります。

運動した後は喉ごしらえ!と言うことで、道の途中で偶然見つけたクラフトブリューワリーにお邪魔して、 Canada Dayに乾杯~~!

最近のカナダ西海岸はクラフトビール大ブームが起きていて、地域ごとにお洒落なブリューワリーを発見するのも旅の楽しみのひとつ。ここ、Persephone Brewing Companyは、ビールの他にファームもやってたりホップまで育てちゃっている素敵なブリューワリー。

1日の最後はSunshine Coastで開発が急速に進んでいる街、Gibsons(ギブソンズ)へ。ここもまた可愛らしい港町で、カナダのTVドラマ「The Beachcombers」(ビーチコーマーズ)のロケ地になった地元ではちょっと有名な場所です。

港には無数のヨットと個性豊かなボートハウスがぎっしりと並んでいます。

海に浮かぶヨットはなんともロマンを誘いますね。いつかこんなヨットでアイランドホッピングしてみたいなぁ~、と夢見ているとピンク色に染待っていく空にあっという間に過ぎた楽しい1日の終わりを知らされます。

音楽→人→海→山→ビール→空、と大好きなカナダのエッセンスの全てがぎゅっと詰まったCanada Day。カナダは移民の国だからこそ、多種多様な背景を持つ11人がみんなで良い国にして行こうと、そんな明るい志を持って生活している気がします。

また新しい1年、カナダという国をもっと知りたくなるそんな1日でした。