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Growing Season

今年のカナダの秋は、晴天続きで気温も高く、10月も半ばになってから我が家の家庭菜園のGrowing Season(成長期)もようやく落ち着きました。

この春は、ケール、ビーツ、水菜、かぶ、絹さや、ラディッシュ、レインボーキャロットの種蒔きから始まり、ハーブはイタリアンパセリ、バジル、紫蘇、パクチー、ミツバ、なども全て種から育てました。

夏のスタートが遅かったのと、7月まで冷夏だった為、ジャガイモの種芋がどこまで育つかヒヤヒヤしながら観察していましたが、可愛らしい芽が伸びはじめた時は一安心しました。

野菜は苗から育てるよりも、種から育てる方が何となく強い気がするのと同時に、愛着も倍に湧きます。ミリ単位の種から発芽し、土の表面にニョッキリと姿を表すたくましい生命力。

毎日優しく水をあげながら、その成長を見るのが私の夏の日課でした。特にツル科の絹さやは、芽が出たと思ったら、あっという間に長い支柱を駆けのぼり花を咲かせてくれました。

 

ビーツやカブの収穫時には、まん丸に太った実が「早く採ってください!」と言わんばかりに土の表面から盛り上がり、ほんの少し引っ張るだけで簡単に収穫できました。野菜は自分の食べごろを色々な形で教えてくれます。

ジャガイモは冷夏の時期が長かったか、前年に比べて数はあまり採れませんでしたが、掘りたてのジャガイモを蒸してガーリックとディルで炒めたお味は最高でした!

家庭菜園の魅力はなんと言っても、もぎたての野菜を味わえることではないでしょうか。お陰で夏場は、ハーブ類と自分で育てた野菜の一部は市販のものを買わずに済ませることが出来ました。

農薬も肥料も与えず、米の研ぎ汁を定期的に与えただけで、害虫被害もなく立派に育ってくれた野菜達!特にレインボーキャロットは、10月末になってもまだまだ収穫出来るほど元気一杯でした。ケールだけ虫にやられてしまい、食する部分がほとんどなくなってしまったのが残念。ケールが大好きなだけに、これは来年の課題です。

今年は実だけでなく、花も沢山咲いてくれて、また来年用の種も収穫する事ができました。

野菜の種と同時に蒔いたカレンデュラの種は、ようやく夏の終盤に次から次へと咲き誇り、食べる植物だけでなく鑑賞用の花を植える楽しみも再発見。

そして春先から作り始めたコンポスト。

家庭で出たクズ野菜やお茶の出涸らしを土や米糠と混ぜてせっせと作っていたのですが、今年は堆肥化には間に合いませんでした。自分が排出しているオーガニックのゴミさえも、土に還るのにどれほどの時間を要すのか、改めて勉強になりました。ゴミはやはりゴミ。簡単に分解し、土に戻るものなどそうないのではないでしょうか。

以前、VOICEプロジェクトで農家の方を取材した時に、とても印象深い言葉をいただいたのを覚えています。「農業を始めた若い頃は、1年は4シーズンしかないと思っていました。でも、日々自然と向き合い、食物を育てることに携わっていると、1年は52シーズン以上からなっているのだと気づいたんです。食物を育てるには長い時間を要します。雪がなくなり、畑の土が見え始め、土の中の無数の微生物の匂いを嗅いだ瞬間から、秋の収穫に至るまで実に小さな変化を繰り返しながら、様々なシーズンが繰り広げられているんです。」

私もいつか52シーズンを感じてみたいと思いを馳せながら、今年のGrowing Seasonの幕が閉じました。

Potato Diary

「直心是道場」(じきしんこれどうじょう)と言う禅語を本で読んだことがあります。「大切なことは環境を整えることではなく、志を持つこと」と言う意味ですが、その言葉を胸に、今年の夏は自宅のバルコニーで小さな家庭菜園に励みました。

家庭菜園には庭が必要。庭でなくてもせめてコミュニティーガーデンでやってみたい。バルコニーでは難しい。毎年いろいろな思いがありましたが、今年は思いつく野菜を自由に育ててみる事にしました。

市販で購入したオーガニックのジャガイモに芽を生やしてしまったことがきっかけで、ジャガイモ栽培を試みる事に。いざ、ジャガイモ栽培といってもすぐに出来る訳ではありません。種芋から育てるには時間とケアが必要です。芽が生えたジャガイモを日当たりの良い室内に2週間ほど置いて、さらに芽を成長させます。十分な大きさに育ったら、ジャガイモを半分に切り、発芽した芽が両方に2つずつ残っていることがポイント。切り口を炭でカバーし、更に2日ほど日光に当て乾燥させると種芋の出来上がり。

3週間の種芋製作後、54日に植え付け。ジャガイモは深さと大量の土が必要なので、バルコニーでも身軽に出来るようポリ素材の鉢を使用しました。しかもこの鉢は脇にジッパーで開閉できる「窓」が付いているので、土の中のジャガイモの成長を確認する事が出来てとっても便利!土は鉢一杯に入れるのではなく、最初は1/3程度でOK!その中に種芋を優しく植え付けます。

 

5月と言ってもここはバンクーバー 。冷え込む日もありましたが、10日程でなんとも可愛らしい青い芽が顔を出してくれました!

芽が出たら後は放置プレーでも、たくましく育ってくれるのがジャガイモくん。4日後にはグングン元気な姿に成長していました。

芽が15~20cmの高さになったら、「Mounting」と言う土を盛る作業をします。一番上の葉だけが見えるくらいまで土を被せ、ジャガイモの成長を促していきます。この作業を2回ほど繰り返したら、うちの鉢はもう一杯になってしまいました。

成長中のジャガイモはバルコニーに小さな緑のオアシスを作ってくれて、何とも気持ち良い~~。このままずっと緑でいて欲しいと思ったほど。お水は土の中に指を深く入れて、乾燥していればあげる程度でOK

収穫は120日後~様子を見て行いますが、7月半ばに1週間程留守にしたら何とあんなに青々しかったジャガイモの葉が一気にしな垂れていました。早いけど収穫のサインと判断し、水やりをストップして1週間ほど掛けて茎と葉がカラカラに枯れるのを待ちます。

早くも約90日間で第一弾収穫の日を迎えました。最初は手探りで、土の中にちゃんとジャガイモが育っているか、幾つあるかとドキドキしながら掘っていくとゴロッとした手探りが!しかも何個も!思わず歓喜の声を上げてしまった嬉しい瞬間でした!

この鉢からは大小のジャガイモ計15個収穫しました。

もう愛おし過ぎて永久保存したい位でしたが、食べられるために彼らも立派に成長してくれたのでありがたく頂きます。我が子の写真撮影を済ませて、ホヤホヤの新ジャガを頂きました。ジャガイモが華となるメニューを考えるのもまた楽しいものです。

2弾収穫日はその1週間後。こちらは小粒も多かったけど、大中合わせて20個ほど収穫しました!

驚いたのは親となった種芋が薄皮1枚のぺらぺらの姿になっていた事。栄養分を全て注いでくれた証拠です。ちなみにもう一つの鉢では跡形もなく土となり消えていました。

ジャガイモ栽培は何か一つの命のライフサイクルを短時間で目撃した気がして、ちょっと胸が熱くなりました。命を育てるとは本当に学び多いものですね。

やりたい事全てのものは、志があれば今その場でクリエイトすることが出来る。場所に囚われず今いる場所で、あるもので、何が出来るのか。クリエイティブな家庭菜園はまだまだ続きます。

Summer Abundance

生命の豊かさを感じる季節。それがバンクーバーの夏です。

7月中旬から8月初めまで本格的な夏を迎えたバンクーバーでは、花々が咲き乱れ、様々な種類のフルーツや野菜が収穫され、彩り濃くキラキラ輝く時期です。職業柄、カラフルな色彩に心惹かれるので、特に夏に咲く花の種類と鮮やかさには驚きます。初めて出会う花も多く、花の名前が写真で分かる携帯アプリを入れた程でした。

農作物も一気に賑やかになります。夏の間は出来るだけファーマーズマーケットで新鮮でお手頃な野菜を調達する様にしています。毎週土曜日にアボッツフォードからやって来る家族経営の小さなオーガニックファーム, Close to Home Organics がお気に入り。マーケットが始まる10時前に毎度長蛇の列になる人気店で、朝一で買い出しに行きます。

ちょっと変わったお野菜も並び、詳しく調理法も教えてくれるオーナーの丁寧な人柄がとても素敵。顔馴染みの常連さんには「See you next week!」と挨拶を交わし、そんなコミュニケーションが取れるファーマーズマーケットが大好きです。

マーケットだけでなく、自分の手で夏の恵みを得ることも出来ます。夏はベーリーシーズン。ストロベリーに始まり、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーとどんどんピークを迎えます。

今年初めて行ったブルーベリーピッキングは、自分が獲った分だけのブルーベリーの量り売りをしてくれます!カゴ一杯に摘んだ3ポンド程(約1.4kg)のブルーベリーが何と7ドル程!青空の下、広大なブルーベリーファームでのピッキングは何ともメディテーションに近い心地よさを体験させてくれました。

大量に持ち帰ったブルーベリーはやはりフレッシュで頂くのが最高ですが、残りはタルトにしたりマフィンにしたり。手積みした可愛らしいブルーベリーだけに、どう美味しく頂こうかと料理の時間も一層楽しくなります。

家のバルコニーで細々とやっている家庭菜園では、今年はきゅうりとミニトマト、レッドチリペッパーの収穫に成功しました。

特に真っ先に実った野菜を1粒手にする時の達成感と、「大きくなってくれてありがとう~~♡」と思わず口にしてしまう愛おしさはたまりません。不揃いなれどそれも個性と、愛着が湧きます。

ご近所さんから頂いた豊作のお裾分けも食卓を賑やかにしてくれます。

街の歩道には通行人が誰でも自由につまみ食い出来るベジタブルガーデンが設置され、ガーデニングを誰でも気軽に楽しんで貰おうと粋な試みも。If you are hungry, take a bite!」(お腹減ってたら、一口どうぞ!)と言うメッセージが微笑ましい。

レストランやカフェでも自家菜園で採れた野菜を提供するお店も多く、とにかく生命感に溢れる夏のバンクーバー。

真夏の太陽と共にやって来る沢山のカラフルな命は、一瞬で過ぎ去る短い夏だからこそ、より鮮やかにエネルギッシュに見えるのかもしれません。

来年の夏は、人にお裾分けできるくらい収穫出来る腕前になりたい、と夢膨らませています。