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Fly High

カナダにいると空を見るのが一段と好きになります。遮るものがない壮大なキャンバスに無限大の可能性を魅せる空の表情は、自分の中に様々な感情と感動を涌き起こしてくれます。

特に冬の澄み切った空気に広がる夕暮れ時。どうしたらこんなに美しいグラデーションが、カラーが創造出来るのだろうと、いつもぼーーっと魅入ってしまうのです。

仕事柄、飛行機に乗ることも多く、上空から眺める空の景色も大好きです。大自然の中にいる時と同様に、上空を飛んでいる自分と空とその下の広がりは、いつも人の存在をとても儚く、そしてちっぽけに感じさせます。

通り過ぎる空の下、どんな人や生活が繰り広げられているのだろう。そして、長く遠く伸びた地平線のそのまた先の空の下。そこには何が待っているのか、まだ見ぬ景色にちょっとしたロマンを抱きます。

インターネット上で指先一つ動かせば簡単に情報が手に入る時代。人はあらゆる情報を「知った」つもりになったり、どこへでも「行った」つもりになりやすいのではないでしょうか。でも、真実はやはり自分の目で見て、手で触れて、風を感じ、匂いを嗅いでこそ、その人に語りかけてくる気がします。

新年早々、仕事で初めて中国に行く機会がありました。中国は常に興味がありいつか行ってみたいと思っていた国です。中国系の友人や実際に行ったことのある人、もちろんネット上でも沢山の情報を入手していたので、ある程度の知識は持っていたつもりでしたが、やはり百聞は一見に如かず!!実際に訪れてみると、想像以上のサプライズ、今までの見解や関心を改めてくれる貴重な機会となりました。そして何より現地に住むローカルの人達と直接触れ合い交流することが、一番の「真」の体験となるのだと思います。

その瞬間その場所に居ないと味わえない感覚は、空が描き出す「瞬間の美しさ」と似ていて、自分にとって必要不可欠な肥やしであり、さらに新しい広い視野へと導いてくれます。

そんな5感で感じる体験を大切に、自分自身を育んで行きたい。まだまだ限りなく存在する未知なる世界へと繋げてくれる美しい空の広がりを見ながら、2020年がスタートしました。

 

Charity Fun

チャリティー精神は、カナダに住んでいると日常的に触れる機会が多くあります。援助すること、寄付すること、人のために行動したり思うこと…。チャリティー 精神はあっても、どう始めれば良いか分からない、敷居が高い、お金に余裕がある人がやること、と難しいイメージを持っている人も多いかもしれません。カナダでは、チャリティーはごく身近にあるだけでなく、1つのイベントとして自分が思いっきり楽しむ場でもあるのです。

11月、北米屈指のスキーリゾート地、Whistler (ウィスラー)で毎年恒例の「牡蠣の早あけ世界大会」が行われました。ウィスラーのリステルホテルに隣接する高級レストラン、Bearfoot Bistro(ベアフットビストロ)が主催するこの大会は、今年で9年目を迎えたチャリティーイベント。

冬のプリプリの生牡蠣がフリーフローで食べれて、ワインメーカー24社、スピリッツ(蒸留酒)メーカー10社、ブリュワリー3社からお酒が振る舞われ、ベアフットビストロの創作小料理まで頂けると言う、牡蠣とお酒好きには夢のようなイベントです!

そして、収益金はローカルコミュニティーの基金へと寄付されるので、自分が食べて飲んで楽しみながら何かの役に立っていると言う、何とも嬉しいチャリティーイベント。

一夜でどれだけの牡蠣が消費されるかと思わず心配になる程、約1,000人の来場客はイベント開始と同時に牡蠣ブースで生牡蠣を頬張ります。この主役の牡蠣を毎年チャリティー提供しているソーミルベイ社のオーナー、スティーブン・ポーコックさんとの出会いは私の中で新しいチャリティー像を構築してくれたと同時に、このイベントの隠れたヒーローでした。

12年間牡蠣の養殖業をバンクーバー北西の沖合にあるリード島で家族で営むポーコック家。元は、イギリスのオックスフォードで農業を営み、カナダの内陸部に移住して来たそうです。内陸部でも同じ農業と家畜業を始めたけれど、冬の厳しい寒さに耐えきれず、気候が穏やかなカナダ西海岸に引っ越しを決め美しいリード島と出会ったのです。そこから、牡蠣の養殖がスタートしました。

陸の動物から海の産物にビジネス転身しても「全く違和感なかったよ。同じ生き物だからね」と柔らかく返すスティーブンさんの牡蠣は北米を中心に世界各地に発送されています。そして一番の売りはローカルエリア内への24時間発送!収穫後24時間以内にバンクーバー市内のレストランや近郊の町へと鮮度抜群の牡蠣を届けてくれます。

食が人を作るように、美味しい食(牡蠣)は人が作るのだと宣言するスティーブンさんの人柄と牡蠣への愛が、イベント会場で鮮明に溢れていました。単に鮮度だけでなく、サステイナビリティー&環境配慮を心掛けて育ったソーミルベイ社の牡蠣は、家族総勢でイベント前に長い時間をかけて準備され、無償提供され、またスティーブンさん自ら社員と一緒に四六時中手を休める事なく「牡蠣は体に良いからドンドン食べてね~!」と来場者に牡蠣をせっせと剥いてくれました。どんなに混み合っても笑顔と牡蠣を絶やさず、大会の優勝者には「うちの牡蠣を綺麗に早く剥いてくれてありがとう!」と言わんばかりの満面の笑みで握手を交わし、夜中のアフターパーティーも全力で駆け抜けちゃうスティーブンさん。これぞチャリティー精神をフルに謳歌している姿、と感じずにはいられませんでした。

世のため。人のため。そこに自分も喜ばせる時間があるチャリティーイベントは、無理なく等身大で、きっと誰でもすっと入って行けるはず。形式ばらずに、気がついたら何かの助けになっていたり。チャリティーとは、そんな純粋な喜びや遊びのマインドから生まれるもので良いと思うのです。自分の好きなことがチャリティー精神を育む。私も、大好きな牡蠣とワインを両手に貢献できて幸せ三昧のひと時を過ごしました。

Circle of Life 2019 – Fall in Cheakamus

バンクーバーから海岸沿いを70km以上北上した場所に、Cheakamus Center (チェカムスセンター)はあります。昔は先住民であるSquamish Nation(スコーミッシュ族)が暮らした土地で、165ヘクタールもの広大な自然をノースバンクーバー教育委員会が所有し、子供から大人まで参加できる様々な自然&生態系教育プログラムを提供している貴重な場所です。

チェカムスは「行く」より「呼ばれる」と言った方が何だかしっくり来ます。実際、チェカムスの森は普通の森とはちょっと違って精霊が宿っている、そんな雰囲気が漂っています。

太古のままの原生林は根元から枝の先までびっしり苔に蒸され、

ふかふかな絨毯の様な柔らかい土とサーモンが遡上してくる清流があり、秘密の基地みたいな森全体が何か語りかけてくる、そんな魅力があるのです。

10月初め、2年に1度遡上してくるピンクサーモンがチェカムス川を賑わせている季節に、スコーミッシュ族のメディスンマン、Henry Williams(ヘンリー・ウィリアムズ)さんから12,000年以上も前から伝わる薬草について学ぶワークショップがありました。Devil`s Club(デビルズクラブ)と呼ばれるその薬草は、名前の通り強い毒性を持ち、釘の様なトゲで枝全体が覆われています。

そんな危険な外皮を剥ぐと、青々しい香りと共に鮮やかな緑色をした内皮が顔を出します。

何故かこの青い皮だけに様々な効能があるそうで、お茶、ティンクチャー、バーム等にして、主に痛みを伴う病気や怪我、そして炎症などに効果があるそうです。北米ではアラスカ人参とも知られています。

現代社会に生きて来たヘンリーさん。奥さんの持病がきっかけで、忘れかけていた先祖の知恵が詰まった薬草療法の道に再び戻って来たそうです。森からの恩恵は偉大である。そんな語らいの中で、「デビルズクラブはマザー(母体)を残して刈って下さいね。また成長させないといけないからね。」と教えるヘンリーさんの柔らかい言葉に、先住民と自然界はお互いを敬い、とてもバランスのとれた関係性であることを垣間見ることが出来ました。

次にチェカムスに呼ばれたのは、1ヶ月後。森とサーモンについて学びに行きました。

前回のピンクサーモンに代わりシロサケが川に帰って来ていて、それを狙って西海岸中の白頭鷲がこの周辺に大集合!いつもは「見れてラッキー!」な鷲が、頭上を見渡すとあちこち優雅に秋空を仰ぐ姿がありました。

「わぁ!サーモンの匂いがする~!」と、一緒に参加していた地元の小学生くらいの女の子。森の中で学習しているとサーモンの香りが自然と分かるんだな、と感心してしまいました。チェカムスの森は10月から1月までの間、サーモンの香りが漂います。それは産卵を終えたサーモンや餌として食べられたサーモンの死骸が川岸に打ち上げられているからです。

死骸と言うより綺麗に食べられたサーモンは、まるで化石みたいに骨だけになっています。何て無駄なく食べるのだろう!!と思わず感動する程。

更に、この時期に転がっている骨のほとんどは先月勢い良く泳いでいたピンクサーモンと聞いてびっくり!死を迎えた跡のすぐ横で、別の命の群れが続き懸命に泳いでいる。。。生と死をチェカムス川の岸辺でリアルに見せつけられました。

でも悲しい死ではありません。サーモンの残骸は、川や海の栄養分となります。サーモンを食べた鳥や動物のフンは、森を豊かにします。白頭鷲は高い木の枝で優雅に食事をするのがお好みらしく、木の上でサーモンを食い尽くした後、ポトンと下に落とす事で土を育てます。

こうして川や海、そして森へと散らばったサーモンは自然界を豊かにしながら命のバトンを繋いで行くのだ。。。もちろんその昔、先住民もサーモンのお陰で冬が越せたそうです。生命の輪がリアルタイムで繰り広げられるチェカムスの森は、人間が忘れかけている大事なレッスンを教えてくれます。

自然の営みを今後もずっと紡いで行く為に、人間は何が出来るだろう?そんな問いかけをチェカムスの森は私達にそっと提示しているのかも知れません。都市に帰れば、車が走り、ネオンが瞬き、デジタル社会の真っ只中にいる生活だけど、ほんの少し足を伸ばしたその先には太古のリズムが昔から変わることなく繰り返されている。自然界では当たり前の生命の輪を目の当たりにすると、何故か背筋がシャンとする。その感覚を再確認するのがとても大切な気がして、またチェカムスの森に呼ばれたいと思うのです。

Photo by YUSHiiN

Powwow at Capilano Reserve

カナダの歴史は先住民なしには語れません。開拓時代からずっと社会的、経済的問題を背負う事になってしまった彼らは1万年も前からこの土地で独特の文化を育んでいました。2016年の統計によるとカナダの先住民は人口の約4.9%(1,673,780人)を占め、BC州だけでも約20万人が暮らし、198の違う部族、30の違う言語が存在します。

先住民という言葉は、最初は「Native Indian」(ネイティブ インディアン) から始まり、「First Nations」(ファーストネーションズ)と言う名称に変わりますが、Metis(メティス)と呼ばれる先住民とヨーロッパ移民の両方を祖先に持つ人々と、Inuit(イヌイット)と呼ばれる北極地方の人々はこれに含まれません。この3部族をまとめた「Aboriginal Peoples」(アボリジナル ピープルズ)という名称がより正しくなったかと思うと、その呼び方は嫌だ!という一部の部族に配慮して、現在正式には「Indigeneous People of Canada」(インディジナス ピープル オブ カナダ)という呼び方が主流です。彼らを表現する言葉一つをとっても、先住民とカナダの歴史はかなり複雑なのです。

影なる歴史はありますが、彼らの独特の文化と伝統はとても魅力的で興味深いです。

ノースバンクーバーにある先住民居住地区で毎年恒例の「Squamish Nation Youth Powwow」(スコーミッシュ ネーション ユース パウワウ)と言うお祭りがあり、今年で32回目になるイベントに行って来ました。Powwowとは踊りの祭り・集会を意味します。会場で踊り、歌い、語り合い、伝統食や工芸品が並び、とても賑やかなイベントです。場所によっては数時間で終わるものもあれば何日間も続くものもあるそうで、スコーミッシュ ネーションのPowwow3日間と比較的大きなお祭り。

日本の盆踊り感覚と言ったら語弊があるかもしれませんが、炎天下の中、みんな色とりどりの衣装を纏い踊り続け、今年のダンスチャンピョンを選びます。頭に狼を被ったり、三つ編みからイタチがぶら下がっていたり、大きな羽根や賑やかに鳴り響く鈴を全身に纏い、まるで美しいファッションショーの中にいる様でした。特に、後ろ姿が勇ましく美しい!

工芸品のショップが立ち並び、お祭りの目玉の伝統サーモンステーキが振る舞われます。

詳しいルールはわかりませんが、大きな広場に円形になってダンススーペースがあり、基本MCが仕切っているけど自分の好きな歌になったら中央に出て来て好きに踊る、みたいな自由さが新鮮。中には神聖な歌や踊りもあり、その最中は写真・動画撮影は硬く禁じられます。彼らの守るべきもの、継承すべきものは余りにも大きく、儚く、そんな一面を垣間見た感じがします。

Powwowは部族の若い世代の為の文化交流の場としても大切な役割を担っているそう。

華やかな衣装と踊りに見入っているといつもとは違う世界にタイムスリップした感覚になります。ふと長老が「ホットドッグとアイスティー買って来て~!」と家族に叫んでいる声で、現代社会に引き戻され、彼らも皆同じ時代を生きているのだと気づかされます。

ちなみに、Squamish Nation1人、Joe  Capilano(1895-1910)は先住民の権利と伝統を守るために戦った先代リーダーで、この様な集いの場でよく語られる名前です。気がつけば、Capilano River, Capilano Road, Capilano Mountain, Capilano Lake…とバンクーバー市民が普段から親しみある地名、憩いの場所はスコーミッシュ ネーション の偉大なリーダーの名が由来だと、一体どれほどの人が知っているでしょう?

彼のまたの名はJoe Mathias。今回のPowwowの会場となったのも100 Mathias Roadでした。

当たり前の様に付いている街の名称を辿っていくと歴史的背景が見えてくる。そんな小さな知識を得るだけで、この土地で生活を共にする先住民との小さな架け橋になるのではないでしょうか。

O Canada!

71日はカナダの152周年建国記念日でした。2679歳の日本に比べると産まれたての赤ん坊の様な国ですが、愛国心は熱い熱い。この日は大勢の国民がカナダカラーの赤と白を纏い、至る所でパレードやお祝い行事が繰り広げられます。

地元新聞紙もCanada Dayに因んで、カナダトレビアクイズの特別ページを用意したり。カナダは10の州(Province)3の領土(Territory)から成り、国内では3つの時差が存在します。「O Canada」は正式には1980年に国歌となり、カナダを象徴する動物はビーバー!(クマではない!)などなど、面白いトレビアでカナダの知識を深めてくれます。

カナダ⇄日本のデュアルライフを始めてようやく2年目になろうとしていますが、今回初めて現地で過ごすCanada Day。この記念すべき日に、友人が指揮するローカルバンドの演奏を聴きに、Sunshine Coast にて過ごしてきました。Sunshine Coastは実は島ではなく半島です。切り立った険しい山々の先にある為、交通手段がフェリーか飛行機でしかなく、のどかな美しい自然が残っている私にとって特別で大好きな場所の1つです。

前夜にフェリーに乗り込み、わずか40分で到着してしまうSunshine Coastですが、バンクーバー本土とは全く別の世界に誘われる、そんな景色が待っています。

Canada Day当日は、Sunshine Coastの一番大きな街、Sechelt(シーシェルト)で盛大なパレードが行われます。大きいといっても人口1万人強のとても可愛らしいコミュニティーです。先住民の言葉で「2つの海に囲まれた場所」と言う名の如く、シーシェルトのダウンタウン?エリアは両端をジョージア海峡とシーシェルト海峡に囲まれていて、端から端まで徒歩でも行けるほど。

カナダ人の朝は早い!9:30amから友人率いるバンド演奏が始まり、街の人達と一緒に一気にお祭りムードに!道沿いには街中、と言うか半島中の人が集まったんじゃないかと思う程大賑わい。特に「O Canada」の演奏では、座っている観客も立ち歌い始めたのが印象的でした。

そしてバンド演奏後は、何か合図がある訳でもなく突然パレードがスタートします。笑

クラシックカーの大名行列は、毎年恒例のお決まりらしい。

その他にもSunshine Coastで活動している沢山のコミュニティーグループが2時間ほど掛けて、思い思いにパレードしていき、通りすがる度に沿道の子供達にお菓子やらグッズを配りまくります。

子供達にとっては誕生日とハローウィーンが一気に来た感じ。カナダは子供と老人を大事にするのはもちろん、社会的弱者や動物にとても思いやり深い支援と愛を注ぎます。何だかこのパレードでは、ほのぼのとその心温かい精神が垣間見れた気がしました。

パレードがまた何気な~く終わると(最終グループは地元の消防隊でした)、午後はゆっくりとSunshine Coastの美しい自然を満喫。

Sargeant Bay Provincial Parkでのビーチタイムでは、カナダで初の海水浴にチャレンジ!北緯が高いだけに夏でも忍耐がいる冷たい海水ですが、この日は炎天下だったこともあり(数分)楽しむことが出来ました。

お次は、大好きな針葉樹が香るトレイルへ。

Soames Hill Parkは、片道30分程でサンシャインコーストとお隣のBowen Island(ボーエン島)と遥か地平線上にはバンクーバー島まで眺められる絶景ポイントがあります。

運動した後は喉ごしらえ!と言うことで、道の途中で偶然見つけたクラフトブリューワリーにお邪魔して、 Canada Dayに乾杯~~!

最近のカナダ西海岸はクラフトビール大ブームが起きていて、地域ごとにお洒落なブリューワリーを発見するのも旅の楽しみのひとつ。ここ、Persephone Brewing Companyは、ビールの他にファームもやってたりホップまで育てちゃっている素敵なブリューワリー。

1日の最後はSunshine Coastで開発が急速に進んでいる街、Gibsons(ギブソンズ)へ。ここもまた可愛らしい港町で、カナダのTVドラマ「The Beachcombers」(ビーチコーマーズ)のロケ地になった地元ではちょっと有名な場所です。

港には無数のヨットと個性豊かなボートハウスがぎっしりと並んでいます。

海に浮かぶヨットはなんともロマンを誘いますね。いつかこんなヨットでアイランドホッピングしてみたいなぁ~、と夢見ているとピンク色に染待っていく空にあっという間に過ぎた楽しい1日の終わりを知らされます。

音楽→人→海→山→ビール→空、と大好きなカナダのエッセンスの全てがぎゅっと詰まったCanada Day。カナダは移民の国だからこそ、多種多様な背景を持つ11人がみんなで良い国にして行こうと、そんな明るい志を持って生活している気がします。

また新しい1年、カナダという国をもっと知りたくなるそんな1日でした。

Sakura blooming city

桜は日本の春の風物詩ですが、実はバンクーバーも「Sakuraシティー」と呼べるほど桜の木が多く存在し、実に40,000本もの桜が毎年華やかに春の訪れを知らせてくれます。

今年は早い場所では3月末から、日本とほぼ同じタイミングで開花!!1つだけ違う点は、バンクーバーは広く、同じ市内でも天候が様々なので、今満開を迎えている桜もあれば、まだ蕾の場所もあります。日本よりもずっと長く桜を楽しめるのが、何ともラッキーです。

公園や植物園はもちろん、ダウンタウンや近所の街路樹の至るところに桜があって、気軽にお花見が出来ます。淡いピンクの花と、カナディアンブルーの空、そして新緑の芝生がマッチした時の光景は、ため息が出るほどに美しいです。長かった雨季の冬がようやく終わり、春風に乗って桜の可憐な香りが漂ってくると、太陽の季節だ〜!と心がワクワク踊り出します。

なぜバンクーバーにはこんなに桜が多いのか?

その始まりは1930年代。日本の神戸市と横浜市が、バンクーバーのThe Park Board(公園管理局)に500本の桜をスタンレーパークにある「第一次世界大戦・日系カナダ人戦没者慰霊碑」に寄贈しました。これをきっかけに、市民の桜に対する愛着が芽生え始めたのです。

当時のバンクーバーの街路樹は、ニレ、カエデ、クリ、と比較的大きな樹木を植えるのが習慣でした。しかし、雨の多いバンクーバーでは木々がグングン急成長してしまい、道路に根っこが張り出したり下水管を壊したりと、トラブルの要因となっていました。そんな事から50年代に入ると、巨大樹木の代わりに、サクラ、ウメ、リンゴのような花咲く、比較的小ぶりの樹木に植え変える動きに変わっていったのです。さらに1958年、日本領事館から300本以上の桜がバンクーバーに再び寄贈されました。そんな歴史を経て、90年代初頭にはバンクーバー市内の89,000本ある街路樹のうち、約36%がサクラやウメの木となるまで増えていったのです。

バンクーバーの桜は、ちょっとだけ大陸的?というか花びらが大きい気がしますが、世界中どこでも春の風物詩は人気者です。こちらは公共の場所での飲酒は禁止されているので、日本の様に桜の下で「花見で一杯!」とはいきませんが、ベンチから眺めたり、木の下で読書したりと、皆それぞれ桜タイムを楽しんでいます。

ただやっぱり、日本人の桜に寄せる想いはまた特別な感じがします。

桜は日本人にとって、沢山の歌にも歌われるほど、人生の数々のエピソードと重ね合わさる、そんなスペシャルな存在と思うのです。入学式や入社式、結婚式の様な人生の大きな節目だったり、家族や友人たちと過ごした大切な思い出だったり。桜の花を眺めていると、ふと自分のアルバムを呼び起こしてくれるような、ちょっぴりノスタルジックな気持ちにもなります。

この季節、カナダでより日本を近く感じられる、そんな時間です。

Walk, Play, and Smile

1日1万歩は健康の秘訣とも言われますが、私はもともとウォーキング好き。トレイルに行かなくても、家の周りには毎日歩いても飽きない美しい遊歩道が沢山あります。

バンクーバーには Green Pathway(グリーンパスウェイ)Green Necklace(グリーンネックレス)と呼ばれるサイクリストと歩行者専用の遊歩道があり、みんな散歩やジョギングをしながらすれ違う人と笑顔の挨拶を交わしたり、話し込んだりと、ちょっと社交的な場にもなっています。

私にとって日々のウォーキングはエクササイズであり、リフレッシュであり、そしてエンターテイメント!

エンターテイメント?と思うかもですが、このグリーンネックレスのあちらこちらに可愛らしいパブリックアートが描かれているのです。アーティストを公募し、歩道にメッセージ性のあるアートを施すことによって歩行者の関心を高め、すれ違う人々の会話のきっかけになればと市が企画しているものです。自分の足元で繰り広げられる小さなアートを見つけながら歩き進めると、雨の日でも晴れの日でも何だか楽しい気分になれます。

中には日本の4コマ漫画のようなノリで描かれていて、これがまた面白い。

車椅子の人がいると思ったら、ローラースケートをしている女の子登場、、、

その後に自転車に乗った小さな子供が列に加わり、、、最後は杖をついたおじいちゃん合流!

この道は色々な人が共有していますよ、と誰にでも分かりやすい形で語られていて何ともカナディアンらしい優しいメッセージ。

次は、いかにもバンクーバーらしい!

歩いていたら、、、きゃー、雨が降って来た!傘をさしましょう。

歩けど歩けど、雨は激しくなる一方。

外出すると必ず雨に振られる冬の天気を連想させて、自然とうなずいてしまいます。

お次は、勝手に題して「ある女の子の1日」。

女の子がてくてくとバギーを引いた親子の前を歩いていました、、、

前方に犬の散歩をしている人を発見、、、

途中でみんなご対面、、、そして、お友達になって仲良く遊んだのでした!

中には、意外性あるコミカルなものも。

一生懸命に走っている1人が、、、2人になり、、、。

3人になり、と思ったら、、、なぜかみんな怪獣から追われている模様(笑)。

そして、私のお気に入りのストーリーはこちら!

左から女性のハイカーがやって来て、、、右からは男性のハイカーがやって来る。

2人は出会い恋に落ち、、、一緒に旅を続けます。

そして、赤ちゃんが生まれた!なんと、、、2人目も生まれた!!

大きくなった子供たちはお婆ちゃんと一緒に仲良く散歩するのでした!

と、思わず微笑んでしまう人生の一コマ。

この道で繰り広げられている日常の景色。ちょっとファンタジックな出来事。自分の想像を膨らませながら、アートを追っていきます。

歩く人を楽しませるユーモアがある道は素晴らしい。慌ただしく歩む日々だからこそ、遊び心を持つゆとりと笑顔を忘れずにいきたいです。

A circle of life

食欲の秋。芸術の秋。スポーツの秋。と、秋には様々な形容詞が似合いますが、カナダの秋をひと言で例えるなら、やはり「恵みの秋」ではないでしょうか。

2018年はサーモン遡上の「Dominant Run」と呼ばれ、4年に1度の産卵のピークイヤーです。BC州にはサーモンが帰ってくる川が約2000本あると言われ、いつか見てみたいと思いつつも日々の色々に追われてなかなか遠出できず、時は既に11月。。。

もう遅いだろうと思いつつ11月も第2週になったある日、家から車で10分程で最も気軽にサーモンを見学できるCapilano Salmon Hatchery(キャピラノ・サーモンハッチェリー) と呼ばれる人口孵化場にトレイル歩きがてら寄ってみることに。すると驚くことに、ガラス越しではあるけれどSalmon Ladder(魚梯)を懸命に昇るサーモンの姿がまだありました!

ここに帰ってくるサーモン達は孵化場で産まれたサーモンです。サーモンは自分の生まれた川の匂いや体内の磁気コンパスなどの仕組みを巧みに使い、産卵期に必ず故郷に帰ってきます。偶然学習用に斬られたサーモンを運んでいる所に遭遇し見せてもらうと、お腹からギッシリ詰まったオレンジ色の宝石の様な卵が溢れ出し、何かとても神聖で、長い旅路の末にこんな姿になってしまったのかとやるせない思いにもなります。けれど、サーモンを食卓で美味しく頂いている日常とも重なり、いつも当たり前に頂く「食」への感謝の気持ちも一層に湧いてきます。

サーモンは自分の運命がどうなろうと、途中で釣り上げられたり、動物や鳥の餌になったり、故郷が孵化場であれ自然の川床であれ、ただただ産卵をするために命を張って必死に帰って来る。とても神秘的な行動と同時に、自分達の決められたライフサイクルにとても忠実な生き物ではないでしょうか。

サーモンには「海の顔」と「産卵期の顔」があり、遡上をする時になるとギョッとする程顔が別モノに変わります。険しい川上りをするための自然の適応術だけど、そこには「よしっ!!行くぞっっ!!」と最後の命を燃やすサーモンの意気込みが伝わってくる様です。私も沢山の顔に触れる仕事の中で「その人の生き様や内面が顔にでる」と常々感じますが、サーモンの産卵期の顔はそれを象徴している気がします。

孵化場のサーモンを見学出来ただけでも十分満足していたら、その後に奇跡的な巡り合わせが待ていました。孵化場を後にし、川沿いのトレイルを歩きながら下っていた時でした。ふと渡りかけた橋から川を覗いてみると、なんと自分の足元の真下に5匹ほどのサーモンの群がゆらゆらと流れに逆らいながら停滞していました。天然のサーモンの遡上です!少しの間興奮しながら眺めていると、ひときわ体の大きい雌が、砂を撫でる様に何か居心地悪そうに体を横に動かしているのです。体勢をまた整え近くにいた雄が並んだと思ったその瞬間、その周りで泳いだいた他の雌も含めて我先にと言わんばかりにいっせいに放精したのです!!(動画の一番最後のシーン)

サーモンの遡上ばかりでなく産卵の瞬間まで遭遇してしまったことに、もう大興奮!!私には感動的な初めての光景ですが、地元人は一緒に下を見ながら「あ、まだ居るね」とか「バンクーバーへようこそ!」なんて、いつもと変わらぬ表情で通り過ぎて行きます。こんな日常的な散歩道の真ん中で。都市と自然の狭間で。自分の歩く足元の下で。大自然の生命のドラマが繰り広げられていることがあまりにシュールで、でも何ともバンクーバーらしいハプニングなのでした。

よく見ると川の脇にはもう産卵が終わったか、別のサーモンが息絶えて横たわっていました。卵を狙う野鳥がジッと川底を睨んでいます。サーモンの死骸は、鳥や熊の食料となり、残りは土に還り森や川の養分となります。死骸によって肥えた土壌は、動植物だけでなく、孵化した稚魚たち、そして巡り巡って人間にも沢山の恵みを与えてくれます。

小さな支流の一角で、自然のエコシステムの一部を垣間見ることが出来た幸運。カナダの秋は何かとても大きな自然のゆりかごの中に私達がいることをそっと学習させてくれます。それを心の中に意識するだけで、毎日の生活がちょっと変化する気がします。生命の恵みに感謝する、そんな秋がカナダの秋です。

Colourful Explosion

バンクーバーは今、紅葉真っ盛り! 夏の突き抜けるような青と眩しい緑の世界も大好きだけど、秋が描くカラーパレットはそれ以上に好きかもしれません。「芸術は爆発だー!」と言わんばかりに、ビビッドに燃える色彩がバンクーバーの街を鮮やかに染め、弾け散ります。

カナダ東の赤一色のメープル街道とは別に、赤・緑・黄色・茶色と様々なカラーが激しく衝突し合いモザイクの様に色を重ね、それはそれは息を飲むほど美しいグラデーションを作ります。秋晴れの日はコスミックブルーの空を画用紙に、より一層グラフィカルに力強く色を放ってきます。

夕暮れ時のゴールデンアワーには太陽の傾いたオレンジ色の光に照らされ、キラキラ輝く黄金世界に。まるでマッチ棒に火が灯された様な鮮やかなオレンジ・黄色・赤のロマンチックでノスタルジーなコンビネーションプレイ。

芝生の青緑と落ち葉のコントラスト。

雨に濡れた落ち葉も粋。何か一枚の絵画の中に足を踏み入れている感覚に落ち入ります。行く先々で思わず足を止め魅入ってしまう自然のギャラリー。

美しいメープルにも種類が様々あって、手のひらサイズのメープルもあれば顔面サイズの特大クラスも!これがメープルの大木から風に舞いながらはらはらと散っては地面を埋め尽くし、落ち葉の海になって行く。

色を操るメイクアップアーティストとして、自然が放出してくる爆発的なカラーには圧倒的な感動を覚えます。言葉では到底表現できようもない美しいカラープレイ。こんな表現をしたい、こんなカラーを再現してみたいとインスピレーションの嵐に襲われるのです。

自然界にしか創造し得ないビューティーの祭典をただただ脱帽し魅入る秋。美しい色を魅せてくれてありがとう、まだ知らない色を教えてくれてありがとう。ため息が出る程のこの眩ゆい瞬間に身を委ね、季節の変わり目を過ごす時間がとてもとても大好きです。

 

Nature Colour Palette

バンクーバーは只今夏真っ盛り!例年に比べて記録的な熱波が続いています。(と言っても30度位)

私はカナダの自然から無限大のカラーのインスピレーションを貰うけど、特に夏のカラーは息を呑むほど美しい!!夏空は宇宙に吸い込まれていくかのような真っ青なコスミックブルー!手を仰げば宇宙に届きそう~~~なくらい空気が澄んでいる。フェリーで約1時間半離れたバンクーバー島にある Sproat Lakeで見たブルーは代表的な素晴らしさ。真っ青な天空を鏡のように映しだすとても静かな湖は、まるで水面下にある違う世界に誘うような幻想的な透明度と美しさ。。。

   

キャンプナイトに見た人工的な光のない暗黒のミッドナイトブルースカイは、真の闇の暗さと空の灯台とも言える月光の明るさを教えてくれる。バンクーバーから車で約2時間半の場所にあるJoffre Lakes Provincial Parkのトルコブルーの湖は、私の大好きなカナディアンブルー。絵の具でも流し込んだんじゃないの??と思えるほど、カナダの水はとにかく真っ青!!鮮やか過ぎる青さの理由は雪山にあり。カナダの大半の湖や川は氷河の雪解け水から作られているので、氷河が削った岩の成分からこの美しいブルーやグリーンのハーモニーを奏でているのです。

氷河湖だけに氷水のような冷たさだけど、美しさのあまり飛び込まずにはいられない!!気合いを入れてトルコブルーの世界に身を委ねると地球と一体化し身が清めらていく感じになる。

夏は眩しいグリーンカラーの季節でもある。トレイルを歩けばキラキラ眩しく輝くイエローグリーンの草原や幾層にも形成された奥深いグリーンバリエーションの渓谷。深呼吸するだけで目と心のメディテーション!

海にも緑は存在します。以前バンクーバー島のSookeのビーチを歩いていたら絨毯のようにびっしりと青緑の海藻群。波打ち際からまるで海に溶け込んでいくように生息しているグリーンの大群はまるで丁寧に織られた綺麗な織物のよう。因みに、大きめの海苔をピックしておにぎりに巻きつけて食べたら意外に美味しかった!!笑

サマータイムは日没が21時頃で、夕陽を眺めるには8時過ぎまで待っていないとなかなか沈んでくれない太陽。ぼ~~っと空のグラデーションの変化を追っていると、ゆったりとした地球の動き、天体の動きを心身で感じます。

太陽の周りに虹色の輪が現れる「HALO」=アロもよく見る天空ショーのひとつ。これは薄い雲が太陽にかかり雲の中の氷の粒が太陽の光に屈折してできる現象。天気予報的には「下り坂」のサインらしいけど、見るたびにラッキ~!と喜んでしまう。笑

大自然のカラーパレットは雄大で力強く、そして繊細で儚い。その圧倒的な自然にしか成せない色彩にいつも心を奪われる。カナダの夏はまだまだ私の知らない色を沢山魅せてくれます。