月別: 2019年8月

My hidden gems

人に教えたくない秘密の場所があるとしたら、それは間違いなくSunshine Coast(サンシャインコースト)でしょう。

夏の終わりに都市から遠く離れた静かな場所に行きたくなって、サンシャインコーストへキャンプに行って来ました。サンシャインコーストは半島ですが大陸と通じている道路がなく、交通手段はフェリーか飛行機のみ。半島の南部と北部さえも海で隔てられ、こちらもフェリーで移動します。

バンクーバーからまずフェリーでサンシャインコースト南部にあるLangdale(ラングデール)と言う港に行き、そこから車で北上すること1時間20分。更に別のフェリーに乗り継ぎ、サンシャインコースト北部のSaltery Bay(ソルタリーベイ)が今回の目的地。同じBC州内ですが、バンクーバーから実に4時間も掛かります。

そんな不便で陸の孤島のサンシャインコーストの魅力は北部から始まると言って良いほど、想像以上のパラダイスが待っていました。

キャンプ地はもちろん圏外。何か特別な観光ものがある訳ではないけれど、ため息が出るほどの美しい海とビーチ、そして陸には山々に包囲された無数の湖が点在していて、壮大な自然のアドベンチャーランドです。

今回のテーマは「何も計画しないこと」。気の向くままにドライブして、目の前に飛び込んでくる景色を楽しみ、偶然見つけたビーチを散歩したり、キャンプ場の海辺でゆっくりピクニックを楽しんだり。

私はサンシャインコーストを「北のハワイ」と勝手に呼んでいますが、この地域の海は透明度抜群で、海水もぬるめ。鮮やかなエメラルグリーンやトルコブルーに輝く海に飛び込まずにはいられません。

海辺には、何十回も繰り返し素潜りの練習をしている頬笑ましい親子がいたり、読書をしている人や、近隣からカヤックでやって来てお昼寝してたり、それぞれが思い思いに夏の1日を過ごしています。

サルタリーベイから車で34km程北上すると、Powell River(パウエルリバー)と呼ばれる古き良き可愛らしい田舎町があります。田舎町と言っても19世紀には豊かな森林源を生かしたパルプ産業が栄え、世界的に紙の生産を支える産業都市として成長を遂げていた時代も。豊かな海洋生物が生息する海では時折イルカやクジラが目撃されるそう。

ローカルに勧められたPowell Lake(パウエルレーク)の湖畔に小さなビーチがあり、周りの針葉樹がそのまま溶け込んだようなモスグリーンの湖水の中でのんびりと泳いで、本当に気持ち良い場所でした。

ひと泳ぎしたら半島北部の最終地点、Lund(ランド)へ。ここはサンシャインコーストを一線で繋ぐ約156kmのハイウェイ101が終わる所です。ランドから内陸に10分ドライブするとOkeover Arm Provinciual Park(オケオーバー・アーム州立公園)があります。

長い入り江に面したこの州立公園は、カヤックやヨットマンにとって憧れの場所、「この世の天国」とも呼ばれる壮大なフィヨルド地帯に広がるBC州最大の州立マリンパーク、Desolation Sound Marine Provincial Park(ディソレーション・サウンド・マリーン州立公園)の入り口でもあります。

引潮の浜辺で、ローカルのグループがしゃがみこんで一生懸命に砂を掘っているので尋ねてみると、なんとオイスターとアサリが獲れると!バケツ一杯に入った大量の貝を誇らしげに見せてくれました。

試しに手でちょっと掘ってみると、XLサイズのアサリがゴロゴロ出てくる、出てくる!!何十年ぶりの潮干狩りを思いもよらず一緒に楽しませてもらいました。(注:海や川で海産物を獲るにはBC州のフィッシングライセンスが必要です。)

この日の夜の食卓に並んだのは、もちろん、掘ったアサリのビール蒸しと帰り道に地元の漁師ファミリーから購入した見事なハリバット(大鮃)のステーキ!!その日の恵みをその日に頂く贅沢なご馳走に大満足。

豪華ディナーの後は、お決まりマジックアワーの時間帯。まだ日も長く午後8時半過ぎが日没です。自然が染め上げる空のファンタジーは飽きる事がありません。

そして、この日は丁度満月の前夜。薄暗くなって来た夜空に浮かび上がる山のシルエットから太陽のように輝きながら、神々しく昇って来る月を見た瞬間、何事かとびっくりしてしまいました。鏡の如く静止した海面にムーンロードが照らされ、その光景があまりにも幻想的で平和で、違う時空に迷い込んだかのような、心から感動した夜でした。

食べて、泳いで、寝て、歩いて。。。何も特別なことをしないシンプルな時間こそが最高に贅沢な時間なのだと、サンシャインコーストは教えてくれます。いつもここに来ると魔法のような美しい世界が待っています。

それは、道に迷って偶然たどり着いた景色が一番のお気に入りとなるような、そんなささやかなプレゼントを与えてくれる秘密の楽園なのです。

Summer Abundance

生命の豊かさを感じる季節。それがバンクーバーの夏です。

7月中旬から8月初めまで本格的な夏を迎えたバンクーバーでは、花々が咲き乱れ、様々な種類のフルーツや野菜が収穫され、彩り濃くキラキラ輝く時期です。職業柄、カラフルな色彩に心惹かれるので、特に夏に咲く花の種類と鮮やかさには驚きます。初めて出会う花も多く、花の名前が写真で分かる携帯アプリを入れた程でした。

農作物も一気に賑やかになります。夏の間は出来るだけファーマーズマーケットで新鮮でお手頃な野菜を調達する様にしています。毎週土曜日にアボッツフォードからやって来る家族経営の小さなオーガニックファーム, Close to Home Organics がお気に入り。マーケットが始まる10時前に毎度長蛇の列になる人気店で、朝一で買い出しに行きます。

ちょっと変わったお野菜も並び、詳しく調理法も教えてくれるオーナーの丁寧な人柄がとても素敵。顔馴染みの常連さんには「See you next week!」と挨拶を交わし、そんなコミュニケーションが取れるファーマーズマーケットが大好きです。

マーケットだけでなく、自分の手で夏の恵みを得ることも出来ます。夏はベーリーシーズン。ストロベリーに始まり、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーとどんどんピークを迎えます。

今年初めて行ったブルーベリーピッキングは、自分が獲った分だけのブルーベリーの量り売りをしてくれます!カゴ一杯に摘んだ3ポンド程(約1.4kg)のブルーベリーが何と7ドル程!青空の下、広大なブルーベリーファームでのピッキングは何ともメディテーションに近い心地よさを体験させてくれました。

大量に持ち帰ったブルーベリーはやはりフレッシュで頂くのが最高ですが、残りはタルトにしたりマフィンにしたり。手積みした可愛らしいブルーベリーだけに、どう美味しく頂こうかと料理の時間も一層楽しくなります。

家のバルコニーで細々とやっている家庭菜園では、今年はきゅうりとミニトマト、レッドチリペッパーの収穫に成功しました。

特に真っ先に実った野菜を1粒手にする時の達成感と、「大きくなってくれてありがとう~~♡」と思わず口にしてしまう愛おしさはたまりません。不揃いなれどそれも個性と、愛着が湧きます。

ご近所さんから頂いた豊作のお裾分けも食卓を賑やかにしてくれます。

街の歩道には通行人が誰でも自由につまみ食い出来るベジタブルガーデンが設置され、ガーデニングを誰でも気軽に楽しんで貰おうと粋な試みも。If you are hungry, take a bite!」(お腹減ってたら、一口どうぞ!)と言うメッセージが微笑ましい。

レストランやカフェでも自家菜園で採れた野菜を提供するお店も多く、とにかく生命感に溢れる夏のバンクーバー。

真夏の太陽と共にやって来る沢山のカラフルな命は、一瞬で過ぎ去る短い夏だからこそ、より鮮やかにエネルギッシュに見えるのかもしれません。

来年の夏は、人にお裾分けできるくらい収穫出来る腕前になりたい、と夢膨らませています。