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Canadian Thanksgiving

カナダのサンクスギビング・デー(感謝祭)は毎年10月の第2月曜日にあります。一年の収穫やその年の祝福に感謝しながら家族や友人が集まってターキーを食べる祝日で、クリスマスにつぐ一大イベントです。歴史をたどると、イギリスから北米に渡って来た開拓者と呼ばれる人たちが新しい土地で初めての収穫を神に感謝したことが起源だそう。そしてアメリカとカナダのサンクスギビング・デーの日が違うのは、収穫の時期の違いにあります。カナダの冬はアメリカよりも早く始まり、収穫時期も早いので、サンクスギビング・デーも一足先にやって来ます。

日本では全く馴染みのない祝日ですが、カナダに来てから私も毎年お祝いするようになりました。近くに直系家族や親戚がいない海外生活では、このような大きい行事は親しい友人や友人家族と過ごすことが多いです。今年はある友人宅のサンクスギビングディナーに招待されたのですが、15人ほど集まったディナーパーティーで面識があったのは、友人とそのパートナーの2人のみでした。

お宅にお邪魔してから他のゲストに「初めまして」と挨拶を交わし、他の人達も顔馴染みの人もいれば初めての人も多かった模様。お国もそれぞれ違います。カナダ人もいれば、ペルー人がいたり、イスラエル出身の人もいれば、イギリス人もいたり、と移民の国カナダならではの多様性ある顔ぶれでした。カナダに住んでいるとこのように異なった国の人々、そして異なった宗教や社会的背景の人と交わることは日常的です。そして家族や親戚が居ない分、親しい仲間達が家族のような繋がりを持ったりします。

思い返すとこの数年間、取材などを通してカナダのブリティッシュ・コロンビア州各地を巡り、行く先々で小さな友情の種をたくさん蒔いて来た気分です。同じ場所を何度か繰り返し訪れていると、「久しぶり!元気だった?」なんて挨拶と一緒におおらかに迎えてくれて、あちらこちらに遠くの親戚がいるような感覚になり、ちょっと嬉しかったりします。印象深かったのは、今年の夏ある場所を2年ぶりに訪れた際、両手を広げて歓迎してくれた夫婦。旅の途中で急いでいて、ちょっと挨拶だけと思って寄ったら、「久しぶりの再会なんだから少しゆっくりしていったら?」と、結局2時間以上ゆっくりと話し込んでいました。異国ではそんな友情がとても心を温めてくれます。

話をサンクスギビング・デーに戻しますが、友人宅のロングテーブルにはそれぞれが思い思いに持ち寄ったご馳走がずらりと並んでいました。テーブルを囲みながら着席すると、両隣に座っているゲストの手を握り、「いただきますの前に、一人一人感謝の言葉を述べていきましょう」とホストである友人が提案したのです。さっき会ったばっかりの人と手を繋ぐのは、一瞬恥ずかしい感覚もありましたが、直ぐにこの友達の輪の中に打ち解けました。それぞれが発する感謝の言葉に耳を傾けていると、何だか今までで一番サンクスギビング・デーの真意に相応しい時間を過ごしているような温かい空気に包まれていきました。

今年一番感謝することは何だろうか?私の口からは迷わず「FRIENDSHIP」と言う言葉が出ていました。