今年の夏、コルテス島にある待望のHollyhock Retreat Center(ホリホック)を訪れました。コルテス島は遠く離れた場所にあり、フェリーを3回乗り継がなければいけません。バンクーバーを朝イチ6時半のフェリーで出発しても、少し寄り道などしてしまうと半日はかかります。夕方 、最後に乗った3回目のフェリーの上で、いよいよコルテス島!と胸が高鳴り始めた時、幸運にもクジラの群れが泳いでいるのに出くわしました。少し遠くで潮を吹きながら4~5頭群れになっているようでした。すると、1頭が華麗なジャンプを披露してくれて、コルテス島への旅路は夢のような幕開けとなりました。
ホリホックの立地も本当に美しく夢のような場所です。カナダでは珍しく、目の前には白い砂浜と遠浅の青い海が広がっていて、その周りを静かな大樹の森が囲っています。果樹園には鳥が集い、辺りを鹿が散歩していたり、パラダイスと言う言葉がぴったりです。
さすが「癒しのリゾート」または、「スピリチュアルリトリート」と言う名で知られるホリホックと思いきや、実は世界的にも評判の高い学びの場所でもあります。1982年の創設から40年間、世界中から人々がやって来て、個人の成長とより良い社会にして行くための意義あるプログラムを開催している歴史あるリトリートセンターなのです。
ホリホックの広大な敷地の中で特に魅了されたのは、メインロッジの裏にあるオーガニックガーデンでした。美しい花々と大きく力強い野菜に華やかに埋め尽くされたガーデンの前で、足を止めない人はいないでしょう。
ホリホックで提供される1日3回の食事の主は、このガーデンから提供されます。
夏はホリホック名物、浜辺でのオイスターBBQもあり、高級レストラン並みに美味しいと評判の料理を島の人達も時折食べに来るそうです。
コルテス島に滞在期間中、私はこのホリホックのガーデンで毎朝ボランティアをしていました。「ガーデン作業は朝の7時からね」と言われたので、毎日早起きをして、朝の2-3時間をここで費やしました。主な仕事は草取りですが、この作業が思いの外、旅の一番の思い出として残っています。まだ誰も居ない静寂なガーデンで、鳥の鳴き声、朝露に濡れる花々を飛び交う忙しい蜂の羽の音、そして何よりフレッシュな空気に包まれて、草むしりという単純な作業がとても瞑想的に感じました。
ホリホックの敷地の外にも美しい手つかずの自然が広がっています。特にこの島の水の美しさは抜群で、海でも湖でも、南国を思わせる透明度と水色のグラーデションが眩しいほどでした。
ある晩、ナイトカヤックのツアーに参加したのですが、この日は鏡のような静かな海へと漕いで行きました。
日没後、段々と暗くなっても海の底が見える程透き通っていて、海底に沈んでいる貝やらヒトデやらがくっきり見えます。こんなに美しく豊かな海が存在することに、何だかとても心を和ませてくれました。
そしてもう一つ心を和ませてくれたのが、海でも湖でもヌードで泳ぐ人がいたこと!「こんな綺麗な水、全身で感じずにはいられないよね」と言わんばかりに、皆が思い思いに自然と触れ合っている姿が興味深かったです。
ホリホックのCEOを務めるピーター・リンチさんとお話をした際に、「私たちの基本的な信念のひとつは、土地とのつながりを取り戻すことです。」と、語っていたのがとても印象に残っています。ホリホックは、あらゆる社会のノイズから離れ、非日常的な時間を過ごすことが出来る理想的な環境です。自分という人間と改めて「つながる」時間を与えてくれると同時に、コルテス島の楽園のような自然をさまざまなアクティビティーを通して体験することで、自然との「つながり」そして、一体感を感じさせてくれます。「この美しい自然をどう継承していけるだろうか?」「人と自然はどう共生していけるだろうか?」。ホリホックで時間を過ごした人なら、ふとそんな想いが頭の中に湧いてくるのでないでしょうか。ほかのどんな島でもない、素朴な自然が残っているコルテス島にあるからこそ、ホリホックが最高の学びの場所として成立するのではないでしょうか。「自然は偉大なる教科書」と言うように、ただそこにいるだけで学んだり考えるきっかけをくれるホリホックとコルテス島は、一心同体のような気がしてなりません。
そしてマジックのように始まった今回の旅は、マジックなしでは終わりませんでした。なんと、帰る日のフェリーが1日止まってしまったのです。余儀なく延泊を強いられたその日は、年に一度、島中が集いお祝いするコルテス島記念日!長らく夢見たこの島は最後の最後まで、時間を忘れて過ごしていきなさいと言わんばかりに、その魅力を私に見せつけてくれました。
ホリホックの詳しいインタビューはこちらから⏩https://www.yushiin.com/ja/hollyhockretreatcenter