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A walk in the woods

「森へ歩きに行かない?」そんな友人からのお誘いが最近増えました。何て粋でカナダらしいお誘いだろうと常々思います。コロナウィルス感染拡大防止の為、家族以外となかなか外出や外食が出来ない中、唯一カナダの美しい自然は厳しい現状を忘れられる憩いの場を私達に提供してくれます

冬は太陽の顔を忘れる程、毎日雨が降り続くバンクーバーですが、カナダ人は傘もささずに平気で雨の中を歩いたりジョギングしたりします。私は流石に雨の中は歩きたくないと長らく思っていましたが、最近小雨程度ならありかもと、冬の雨の森を歩くのも好きになって来ました。

冷たい雨に濡れた針葉樹と苔蒸した香り、樹々の合間を幻想的に揺れる霧のカーテン、そしてあちらこちらから溢れた小川がトレイルにまで流れ込み、足元でチョロチョロと可愛らしい音をBGMに聴きながら歩くのは何とも清らかな気持ちにさせてくれます。

面白い事に、カナダ人はハイキング中終始お喋りが止まりません。しかもカフェで話す様な本気のお喋りがほぼ休みなく続くのです。これはコロナに始まった習慣ではなく、一緒に歩く相手が家族、恋人、友人、誰であろうと大抵皆ぺちゃくちゃお喋りをしながら歩いている姿が以前から印象的でした。「何をそんなに熱心に話してるんだろうか?」黙々と静寂なトレイルを歩くのが好きな私の素朴な疑問の1つでした。

最近、その疑問が何となく明らかになってきました。カナダ人の友人とハイキングに行く時、歩き始め前半は決まってお互いの近況報告会から始まります。ここ最近何していただの、どんな出来事があっただの、そんな会話を木の根っこを避けながら、雨でぬかったトレイルを登ったり下ったり結構なスピードで進みながら、話し続けます。一通りお互いのアップデートが終わると、お次は大抵自分達が気になっている自治問題の話題へ移行します。実は、私はここのトークが結構好きです。違う人種や文化背景を持つ人が、世の中の情勢やカナダで起きている社会問題をどう捉えているのか、違う角度からの意見は毎回とても興味深いです。ちょっと重いトピックでも、身体を動かしながら、周りの美しい景色も手助けしてか、「この問題についてはどう言う意見?」なんて、さらっと意見交換出来たりするのです。ハイキングも終盤に入ると、話題もその場その場で適当に移りますが、とにかくお喋りはノンストップ。このトレイルでこのスポットが一番お気に入りだとか、急に謎謎やお互いの質問コーナーが始まったり。そんな感じで数時間喋りっぱなしのハイキングが続きます。

ちょっと静かに森の声も聞きたくない?とふと思っていると、「今の音聞こえた?あれはリスの鳴き声ね」とか「ちょっと止まってみて!静かよね~~」なんてちゃっかり自然にも耳を澄ませていたりもするから可笑しくなります。

カフェで会ったり、街に繰り出すよりも、私は森の中で友人と会う時間がどんどん好きになって来ました。美しい自然と冬の澄み切った空気の中では、自然と伸び伸びと会話も弾みます。すれ違う人も皆笑顔で挨拶を交わします。「森へ歩きに行く」は、とてもカナダらしい社交場なのではないでしょうか。濡れた森を歩く度に心が晴れあがります。そして何より、森でお喋りをする度にまた一つ友人の事が深く知り合える、そんな素敵な交流の時間が流れています。

The winter wonder trail

トレイル好きな私は冬でもやはり山に入りたくなり、近所の裏庭(山)でスノーシューに初挑戦!家から車で30分程のMt. Seymour(マウントシーモア)は、標高1,449mでスキー場やハイキングコースも沢山あります。

今年のバンクーバーの冬は稀にみる晴天続き。あまり雨や雪に恵まれていませんが、Mt. Seymourのスキー場まで登るとそこには白銀の世界が待っていました!遠くにはアメリカのMt.Baker(マウントベーカー)が見える絶景ポイントからスノーシュースタート!

夏に歩くトレイルは木の根っこや起伏が激しい箇所がゴロゴロあるけれど、冬は全て雪の中。湖や川面も全て氷で覆われています。夏場より歩きやすいと思うほど、登り下りはあるものの緩やかな雪道にサクサクと響くスノーシューの足音が何とも心地良い!

白の世界は静寂でピンと張り詰めた緊張感みたいなものがあって、ちょっとの音や小動物の足跡まで敏感にキャッチできる無地のキャンパス。深い森に差し込んでくる冬の太陽の光が、キラキラと真っ白な表面を照らして宝石の様に眩く輝かせます。それを眺めるだけでとても清らかな気分になれる雪マジック。

白という色は何て無限大の色なのでしょう。白を見ているだけで頭も気持ちもスッキリ洗われていきます。澄みきったカナディアンブルーの晴天の空と重なれば最高の色のコントラスト!トレイルの道中、大自然が見せてくれる自然のギャラリーに心奪われるばかりです。

往復約5kmのDog Mountain Trail (ドッグマウンテントレイル)の頂きは、バンクーバーとその背後の山々が望める絶景ポイント!ここまで登って来るともう汗だく。

午前中仕事をして、午後からサクッとスノーシューに出掛け自然の世界に溶け込むことが気軽に出来てしまう日常。海あり山ありのバンクーバってやっぱり素敵な街だなぁと、しみじみ感動してしまいます。

冬のトレイルの美しさと楽しさを教えてくれてありがとう!と、また一つ私の中のカナディアンビューティーが増えました。