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Fur Baby

7月1日Canada Day (カナダ建国記念日)の前日に、新しい家族が我が家に加わりました。1.5~2歳(推定)のシュナウザーミックス・保護犬のTio (ティオ)くんです。

ちなみに、カナダは国民の58%は犬か猫など何かしらペットを飼っていると言う統計が出ているほど、ペットフレンドリーな国です。その内95%は、自分のペットを「家族の一員」と考えています。カナダでは、「Fur Baby」(毛皮の赤ちゃん)や、「Fur Parents」(毛皮の赤ちゃんの親)と呼ばれる、人間の赤ちゃんと同様にペットを可愛がる親のことを表現する言葉が存在するのです。

我が家も「Fur Baby」を求めて、2年程前から保護犬を探し始めていました。以前から、ペットを飼うなら保護施設からと決めていたのですが、コロナパンデミックもあって、ペットの人気はさらに急増。2013年に設立されカナダ国内外から虐待や殺処分待ちの犬を懸命に保護している非営利団体「Furever Freed Dog Rescue(FFDR)」のことを知り、ここで2年もの間、我が家のライフスタイルに合いそうな子を探しては、里親申請をしていました。

FFDRは選考基準がとても厳しい団体です。毎週世界中の犬を保護しているので、直ぐに我が家も里親先として選ばれるのではないか、と思っていた甘い考えは容赦なく覆されました。申請をする度に9ページにも及ぶ質問表を提出します。数ヶ月経っても、全く選ばれないので何が理由かを尋ねてみたことがありました。「我々は保護犬にとって最適・最善な環境を提供できる家族を徹底的に探します。あなたの場合、家がアパート(集合住宅)であること、他にペットを飼っていないので、正直優先される候補ではありません。保護犬の多くは仲間意識が必要なので、既に犬を飼っている家族や庭で走り回れる環境を提供できる家族が優先されます。その様な条件をあまり必要としない犬が出てきたら別ですが…。」、と衝撃的なメッセージをもらいました。

しかし、そんな厳しい基準を設けているからより信頼できるFFDRから授かりたい!、と決心を新たに続けること2年。流石にそろそろ諦めの気持ちが入りかけた頃、私の携帯にFFDRから連絡が来たのです。最初、「間違い電話?」と思ったほどでしたが、「あなたの家にマッチする犬が見つかりました。」と聞いた時の喜びは忘れられません。

里親先として選ばれてからも厳しいのがFFDR。とりあえず「里親候補」として選ばれ、ここからFFDRのボランティアが行う更なるインタビューとホームチェックと呼ばれる家庭訪問が続き、保護犬を迎え入れるにあたり本当に問題ないか、最終チェックされます。このホームチェックに来たボランティアのDさんが、とても親切な方で、保護犬との接し方や暮らし方を詳しく指導してくたのと同時に、近所の動物病院やおすすめのペットショップなど色々な情報を共有してくれました。Dさんも2匹の保護犬を飼っていて、不要になったフードボウルを譲ってくれたり、「困った時はいつでも連絡してきてね。」と連絡先まで交換してくれて、今でもとても頼りになる先輩的存在です。

そして、いよいよピックアップ当日。Tio はメキシコのストリートで保護され、この日10匹ほどの犬と一緒にトラックで2日間かけてアメリカを北上し、カナダに渡って来ました。指定されたピックアップ場所に行くと、「Fur Baby」受け入れ先に選ばれた人たちが、皆ソワソワしながらトラックの到着を待っていました。

白いミニトラックが予定時刻より1時間半遅れで到着すると、安堵のようなざわめきが…。
扉が開き、1匹ずつ丁寧に時間をかけながら、各家族に引き渡されていきます。クレートからTio が出て来た光景を目にした時、大小さまざまな犬に混じりながら、不安であったろう長旅を経てきたと思うとちょっと胸が熱くなりました。そんな気持ちをよそに、対面した時Tio がプイッとそっぽを向いた瞬間心折れましたが、とにかく無事に我が家に連れて帰ることが出来て一安心。

引き取ってからもまた厳しいのがFFDR! 1歳以上の保護犬は、即引き取れる訳ではなく、最長2週間のフォスター期間を経て、相性を確認してから正式に家族になることが許されます。

Tio の最初の2日間はよく寝てよく食べましたが、ほとんど目を合わせてもらえず、どうしたものかハラハラしましたが、時間の経過と共に少しづず心を開いて来てくれています。

今では、膝の上で昼寝をするのが大好き。夜のお気に入りポーズは、仰向けになり豪快にお股を広げていびきをかいて寝ます。

そして先日、マイクロチップとカナダの動物病院で最終健康診断を終了し、無事我が家の一員となりました。動物病院のスタッフが、「ママとパパになりましたね!おめでとうございます!」と、Tio の名字に我が家の名字が記された書類を渡してくれて、晴れて「Fur Parents」になったのだと実感しました。FFDR代表のLさんも同席していて、「良い子になって欲しいなら、甘やかさないでしっかりしつけるのよ!」と、博愛主義家にしては結構厳しくない?とちょっと引く程のしつけの仕方を幾つか教わりましたが、可愛いだけでは済まされない、命を育てていく重さを同時に感じました。

保護犬は私たちの知らない過去のトラウマを持っていることも多いので、これからトレーニングという課題もあります。「Fur Parents」として、愛の鞭を織り交ぜながら、とにかく健康で沢山の犬友と仲良く遊んでくれたらそれで良し!

Tioくん、カナダへようこそ。そして、我が家へ来てくれてありがとう。
これから一緒にカナダを冒険して行きましょうね。