Beauty of hand made products

10月8日の新月はカナダのThanksgiving Day(感謝祭)です。Thanksgivingの由来は秋の収穫を祝う行事ですが、カナダはアメリカよりも1ヶ月以上早く毎年10月の第2月曜と決まっています。その理由はカナダとアメリカの収穫時期の違いにあり、カナダは生育期が短く冬の訪れも早いのでアメリカと比べて収穫時期も早いのです。同じ北米大陸でも、気候も文化も全く違うカナダとアメリカ。カナダはやはり北国なのだと、こんな時に思いしらされます。

Thanksgivingにちなんで今回は手から生まれる恵みのお話を。日本では珍しいハーブや植物がバンクーバーでは生のまま気軽に手に入れる事ができるので、新鮮でホール(丸ごと)の状態を活かして色々なものを手作りすることを心掛けています。その中から最近のお気に入りを3つほどご紹介!

まずはドライハーブ。夏のファーマーズマーケットで初めてディルの花を目にした感動を忘れません。ディルは魚料理に使う爽やかな香りのハーブですが、日本では粉々になったドライのハーブ状になったものしか見た事がありませんでした。草丈も立派に長く、傘を広げたように平らに広がる可愛らしい集合体の黄色い花が咲きます。大きな束で$3もしなかった!あまりに可憐で、香りも良く、ドライハーブにする前に何日か水に生けて楽しませてもらいました。

ディルの葉茎の部分は天日干しにして、ディルウィードというドライハーブを作ります。しなやかな葉茎が乾燥麺のようにパリパリになったら出来上がり。これをフードプロセッサーで細かく砕きます。完成したディルウィードは市販で売られているものよりも緑が数倍鮮やかで香りも華やか。消化吸収を助ける作用があり、魚料理にはもちろん、ドレッシングやピクルスなどにも幅広く使えます。

お次はカレンデュラのチンキ。カレンデュラはナチュラルスキンケア成分でも良く使われている、抗菌・抗ウィルス効果が高く、皮膚や粘膜の修復に優れた私も大好きなハーブです。火傷や虫刺され、肌全般のトラブルに的面で我が家のオロナインとして頻繁に使ってます。女性の生理不順にも効果があるそう。スピリチュアル的な要素も強く、心の傷、トラウマ、怒りなどの負の感情を優しく癒してくれます。カレンデュラはチンキにすると保存期間も長く外用内用の両方に使えるのでとっても便利。チンキ作りはとってもシンプル。眩しいほどの黄金色の花びら30gをアルコール度40以上のウォッカ300mlで2週間漬け込んだら出来上がり!蜂蜜色の液体になり、服用すると華やかな甘いカレンデュラの花の香りが口いっぱいに広がり、これだけで癒しの効果抜群です!

最後は日本の伝統食、糠漬け。糠床は海を越えてはるばる日本からですが、カナダの空気と混じあって日々良い感じに発酵してくれています。フードコーディネーター、寺本りえ子さんがディレクションしている宮崎のオーガニック野菜通販のVegery(ベジリー)にて、彼女が監修したぬか床セットをベースに安心安全な糠と月のパワーが沢山詰まった宮崎産の「月の塩」で作る糠漬けは最高!の一言。http://vegeryorganics.com 信楽焼の老舗窯元、明山の職人手作りの焼きものに入った糠を手でかき混ぜるのが一日一回の日課です。この中にカナダ産の野菜を入れて漬け込むと懐かしい古里の味に早変わりします。糠漬けは生きた酵素と発酵による栄養素(乳酸菌&ビタミンB群など)を簡単に体に取り入れる事ができる素晴らしい日本の伝統食!これはカナダ生活にも欠かせません。

手作りのものはハーブ、チンキ、糠床にしろ、すべて市販のものとは全く違う味わいになります。なぜなら自分の手で作るから。手には沢山の常在菌が存在していて、その常在菌により「自分だけのオリジナル」の味つけが加わるのです。だから同じ糠床でも、作り手によって味が全然変わります。手の平からは常在菌だけでなく、「美味しくな~れ」と作り手の思い入れもグッと凝縮されて伝わるもの。少しの手間や時間が掛かっても自分の手で作るものは最高に美味しく贅沢なものです。美味しく出来てありがとうと自分の手と素材に感謝して、手作りの面白さと奥深さを日々学んでいます。自分の手から生まれる恵みはきっと食だけでなく、幅広いものに通じているのだと感じます。